【動画】新型コロナ情報を懐かしのテイストで伝える“#昭和トリップ”映像
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 刻々と増える新型コロナウイルス感染者数を伝える、青地に白文字の静止画ニュース。外出自粛と在宅ワークを推奨するテレビCMには、なぜか黒電話――。時空のゆがみに迷い込んだかのようなタイムスリップ感満載の動画が、ツイッター上で話題だ。

 この春以降、「#昭和トリップ」というハッシュタグとともに動画を投稿し続けるのは、動画プラットフォーム会社代表の福岡修さんと、小学校以来の友人である会社員の「にしい」さん。福岡さんが企画を考え、にしいさんが映像を制作する。ともに平成生まれの25歳だ。

 きっかけは、にしいさんが何げなくツイッター(@Nishii_dec9)に投稿した「テレワーク」のレタリング文字。言葉の響きの「絶妙な古さ」を表現した昭和風の手描き文字に、共感の声が多く寄せられたことから、コロナ禍にまつわる事象を昭和テイストのニュース映像で表現しようと思い立った。

 感染者数は実際の発表データを使用し、いまのニュースとして成り立つ映像を目指した。こだわりは「画の汚し方」と「当時っぽいフォント」。さらに「ステイ・ホーム」「ソーシャル・ディスタンス」のように、外来語に律義に「・」を挟むといった昭和ならではのディテールにもこだわる。すべてのナレーションは、にしいさん自ら担当。出演者は、にしいさんの大学時代からの友人だ。

 にしいさんは以前から昭和のテイストに魅せられ、当時のテレビをモチーフにした映像をつくってきた。コロナ禍を題材にするというアイデアをにしいさんから聞いた福岡さんが、「有事に関する定時報告放送」といった企画案をつくった。センシティブな表現のチェック役も担う。

 にしいさんのユニークな創作を後押しする福岡さんにとっては、クリエーターの支援活動を自らの事業として発展させるのが夢だ。

 当時の啓発フィルムに何となく漂う、ステレオタイプな決めつけ感や、過剰な恐怖感をかき立てるまがまがしさ。そんな、現代の視点から顧みて気づく「違和感」や「居心地の悪さ」をきっかけに、リアルな事態への危機感を持ってもらえたら――。それが2人の狙い。これまでの反響を踏まえ、緊急事態宣言の解除後も新たなテーマでの作品づくりを模索するという。(北林慎也)