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 英国発の児童文学「ハリー・ポッター」シリーズの作者J・K・ローリングさん(54)のツイッターでの発言が「トランスジェンダーに差別的だ」と波紋を広げている。ローリングさんは10日に公表した手記で、過去の性暴力や家庭内暴力の被害を明かし、自身の考え方に隠された「複雑な背景」に理解を求めた。

 ローリングさんは6日、約1500万人のフォロワーを持つ自身のツイッターに「月経がある人たち。かつてはこうした人たちを指す言葉があったはずだ」と投稿した。ローリングさんは以前、「男性は女性になれない」などとツイートして勤務先を解雇された女性への支持を表明して物議を醸したことがある。今回も、生まれた時の性別と異なる性別で生きるトランスジェンダーへの差別だとしてSNS上で激しい反発を招いた。

 批判を受け、ローリングさんは自身のウェブサイトで長文の手記を公表。自認する性に応じてトイレや更衣室を使えるようにすべきだという議論に言及し、「私はトランスジェンダーの女性たちが安全であってほしいのと同時に、これから生まれる女の子たちや女性たちの安全を低下させたくない。自分は女性だと信じる男性にバスルームや更衣室のドアを開放すれば、中に入りたいと思うすべての男性にドアを開けることになる」などと書いた。

 その上で、最近こうした議論のニュースに触れたことで「20代のころに受けた深刻な性暴力の記憶が頭の中で繰り返された」「怒りと失望が抑えられなくなった」などとツイッターの投稿の背景を説明した。

 「家庭内暴力と性暴力のサバイバーとして、男性から暴力を受けているトランスジェンダーの女性に同情と連帯を強く感じている」ともつづり、「私には、意見を形成した複雑な背景があることを示したかった」とした。

 ローリングさんのツイッターの投稿をめぐっては、ハリー・ポッター役を演じた俳優のダニエル・ラドクリフさんが声明で「トランスジェンダーの女性は女性だ。これに反する発言は、トランスジェンダーの人々のアイデンティティーと尊厳を消し去るものだ」と批判した。(ロンドン=下司佳代子)