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 新型コロナウイルスによる休業から、映画館などが再開する中、大須演芸場(名古屋市中区)の「休演」が長引いている。中心客の高齢者の来場がまだ見込めず、定員制限で再開しても、収益に結び付かないためだ。演芸場は今秋の再開を見込むが、厳しい経営環境を踏まえ、引き続き寄付を呼びかけている。

 大須商店街の一角、大須観音のそばに位置する大須演芸場。東海地方唯一の常設寄席で50年以上の歴史を誇るが、2014年に家賃の滞納で閉鎖。翌15年9月に一般社団法人として再出発した。再出発後は、落語や漫才などが楽しめる常設の寄席である「定席」は日数限定で開いてきた。現在は定席は毎月7日間の開催だが、新型コロナウイルスの影響で、3月から休演したままだ。定席以外は、貸席として、コンサートや企業イベントなどに演芸場を貸し出している。

 国の緊急事態宣言の解除などを受け、名古屋市内の娯楽施設も再開したが、大須演芸場の定席の休演は続いたままで、再開は今秋になる見込みだ。演芸場の橋本浩宗理事(56)は「早く再開したいとの思いはあるが、客席に間隔を設けるために定員を制限して再開する形では、単に赤字を垂れ流すだけだ。客数を減らした分、入場料を高くすることもできないし」と、再開の困難さを口にする。

 演芸場の中心客である高齢者の来場が見込めないことも、「休演」の長期化につながっている。大須商店街連盟の堀田聖司会長(61)は「緊急事態宣言が解除されて以降、商店街に若者は戻ってきたが、感染を恐れてか、演芸場の客の中核である高齢者はまだ戻ってきていない」と指摘する。

 堀田さんは演芸場の理事も務めており、「再出発から5年近くが過ぎ、客足も減ってきた中でテコ入れを図ろうとしていただけに、休演の長期化は手痛い。客数を減らして再開しても、ビジネスとして成り立つのか心配だ」と危機感を強めている。

 一方、演芸場の収益の柱となってきた貸席の利用も、3月以降にキャンセルが相次いでゼロに。14日にあるイベントを皮切りに再開するが、貸席も定員制限があるため、演芸場側も「どれぐらいの利用の申し込みがあるだろうか」と懸念する。

 演芸場は「家賃や人件費等の固定費が賄えず、このままでは運営の継続が困難となりかねない」と、4月下旬からホームページで寄付を呼びかけている。当面の目標額としていた500万円を集めることはできたものの、「再開後も厳しい経営状況が継続することが予測される」として、引き続き寄付への協力を求めている。

 寄付の振込先は「名古屋銀行上前津支店 普通口座3819745 一般社団法人大須演芸場」など。「寄付名簿」を演芸場内に掲示する。詳細は演芸場のホームページ(http://www.osuengei.nagoya/別ウインドウで開きます)。(岩尾真宏)