コロナ禍による長期休校の影響で、中学・高校の文化祭や体育祭が中止や延期となるなか、新たな形での「開催」に挑戦する生徒たちがいる。仲間と協力して作りあげる学校生活の中心的行事であるのはもちろん、進学を目指す受験生らにとっても校風を知る貴重な機会。「こんな時だからこそ出来る工夫を」と、それぞれに知恵をしぼっている。(柏木友紀)
武蔵、中止でも入場門は展示
「輝く法被の長い裾を翻し、生き生きと働く委員たちに憧れていた」
武蔵高校(東京都練馬区)3年の中島伸さんは今年、文化祭にあたる「記念祭」の委員長を務める。小学4年の時、記念祭を訪れ、学校案内などで委員たちが立ち回る姿がカッコよく、同校への進学を決めた。中1から物品発注や印刷、会計など様々なパートを担当、昨年6月に選挙で第98回記念祭の委員長に選ばれ、金色の法被をまとうことになった。
今年4月25、26日の開催に向け、スイカやパスモで飲食物や資材などを一括発注・集計する会計システムを構築し、名物の入場門の設計・制作など準備を進めてきた。ところが、2月末に休校が始まった。
記念祭はいったん6月6、7日に延期されたが、通常授業再開の見通しが立たないことや、感染リスクを完全に避けるのが困難なこと、準備期間の問題、受験や来年度への影響などを考え、委員会と学校で協議を重ねた結果、さらなる延期は難しいと、中止となった。
「楽しみにしていた生徒、先生、受験生や外部の協力業者の皆さんへ、感謝と申し訳ない思いでいっぱい。同時に、背骨を引き抜かれたような無力感と脱力感に襲われた」
何とかこれまでの取り組みを…

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