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 新型コロナウイルスの流行が、主要国・地域の政権支持率を揺さぶっている。過去の非常時には見られなかった数値の動きも出ており、専門家も世界の人々が下す評価に注目している。

評価上げた各国の政権は

 素早い入境規制やマスクの配給で早々に流行を抑え込んだ台湾。南部・台南市の商店街で5月30日、数千人の市民が蔡英文(ツァイインウェン)政権のコロナ対策本部を率いる陳時中(チェンシーチョン)・衛生福利部長(日本の厚生労働相に相当)の到着を待っていた。

 陳氏は1月下旬から毎日、政権を代表して記者会見を開いてきた。元歯科医で、会見では資料に頼らず記者の挙手が無くなるまで質問を受けつけ、感染者を気遣ってマイクを手に涙を見せたこともある。

 台南で陳氏の写真を撮っていた食堂経営の施雅恵さん(44)は、会見の中継を欠かさず見てきたといい、「私たちの健康を守るという責任感と誠実さが伝わってきた」と評価する。

 5月には、陳氏への支持率が92%に達した。その下支え効果もあって、蔡英文総統の支持率も過去最高の71%を記録している。

 人気にあやかり、各自治体は5月以降、コロナ禍で苦しむ観光業を立て直そうと、陳氏を招いたイベントを相次いで開催。台南訪問時にはホテルの部屋が予約で埋まり、陳氏が手にした土産品に注文が殺到した。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領も60%前後の支持率を維持しており、任期(5年)を2年残す時期としては、歴代の大統領と比べても高い。2月に大邱で集団感染が起きた直後は、文氏の弾劾(だんがい)を求める請願活動に146万人の署名が集まったほか、3月第2週の支持率は47・2%にまで低下した。だが、大量のPCR検査などで第1波の抑止に成功。全世帯対象の「緊急災害支援金」給付なども矢継ぎ早に実施し、4月の総選挙では与党を圧勝に導いた。ソウルで韓国料理店を営む金永燦さん(36)は「夜はまだだが、昼の客足は戻ってきた」と言う。

 感染拡大が深刻だった欧州諸国でも政権支持率は伸びている。世界で4番目に多い3万4千人超の死者を出したイタリアでは、コンテ政権が危機の渦中の3月に、過去4年間で最高の支持率(71%)を獲得した。現時点でも半数を上回る。

 政権はウイルス流行前まで、財政再建策などをめぐって連立与党内の亀裂が深まり、コンテ氏の求心力も低下していた。しかし、コンテ氏は、感染拡大を受けて全土の都市封鎖などの措置を取った際、「誰も置き去りにしない」などとメディアを通じて繰り返し語りかけ、形勢を逆転させた。

 ドイツでも、メルケル政権の支持率が流行初期の3月に比べ、30ポイント近くの上昇を保っている。2月ごろまでは、与党の後継党首選びを巡る混乱などもあり、来年秋の任期前の辞任もあり得るとの観測が出るほどだった。だが、コロナ危機では明確な対処方針を説明し、困窮する企業や働き手への支援を早急に決定。充実した医療態勢と感染症対策の準備を生かして医療崩壊を避け、死亡率を周辺国の約半分~3分の1に抑えたことなどが評価されたようだ。(台南=西本秀、ソウル=神谷毅、ローマ=河原田慎一、ベルリン=野島淳)

政治学どおりにいかない日米

 早稲田大学政治経済学部の栗崎周平准教授(国際政治学)によると、政治学には「旗の下への結集効果」という用語がある。国家の存続を脅かされるほどの危機に直面した際、国内で「力を合わせ、国難を乗り越えよう」との機運が生まれ、政権批判が弱まって支持率が上がる現象を指す。

 米国では01年の同時多発テロ…

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