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 津市の国道で2018年、乗用車がタクシーと衝突して乗客ら4人が死亡、1人が大けがを負った事故で、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた元ソフトウェア会社社長の末広雅洋被告(58)に対する裁判員裁判の判決が16日、津地裁であった。柴田誠裁判長は、「制御困難な高速度」だったが事故の危険性の認識があったとまでは言えないと判断。同罪の適用は認めず、同法の過失運転致死傷罪を適用し、懲役7年を言い渡した。

 検察側は、危険運転致死傷罪で懲役15年を求刑。同罪が認められなかった場合は、過失運転致死傷罪にあたるとして「予備的訴因」を追加。この罪では懲役7年を求刑していた。

 公判では、当時の末広被告の運転が「進行を制御することが困難な高速度」だったか、その危険性を認識していたかどうかが主な争点となった。

 この日の判決で、柴田裁判長は、時速146キロでの運転は、今回の国道の法定速度(時速60キロ)を大きく超過し、事故を回避するための適切な車線変更ができないとして「物理的には制御困難な状態だった」と指摘。一方で、事故の危険性については「『具体的な可能性として、(被告が)現実に頭に思い浮かべていた』、すなわち犯罪の故意があったと認定するには合理的な疑いが残る」と述べ、危険運転致死傷罪は成立しないと結論づけた。

 判決によると、末広被告は18年12月29日午後9時50分ごろ、乗用車を運転し、津市本町の片側3車線の直線道路を時速146キロで運転。注意を怠り、国道沿いの飲食店から中央分離帯の開口部に向かって横断していたタクシーの右側に衝突し、男性運転手(当時44)と乗客の男性3人の計4人を死亡させ、1人に大けがを負わせた。

 公判で検察側は、被害結果が重大だったとして「一般道を時速146キロで走行する犯行態様が非常に危険で悪質」と主張。弁護側は、危険運転致死傷罪について、直線道路を横断しようとするタクシーの動きへの対応までは想定しておらず、「拡大適用であり、不相当だ」と訴えていた。過失運転致死傷罪は認めていた。