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 19日に開幕するプロ野球。セ・リーグの担当記者がチーム力を分析した。

巨人 想定外も力、新戦力台頭

 昨季のリーグ王者を、新型コロナウイルス禍が直撃した。主将で不動の遊撃手・坂本勇人、長打力を誇る捕手の大城卓三が、無症状ながら感染が確認され、3日から10日間、入院。調整に大きな影響が出た。

 想定外の事態だが、これが新戦力を発掘するきっかけになった。高卒3年目の20歳、湯浅大の存在だ。機動力を駆使する群馬・健大高崎高の出身で、守備と俊足に定評があった。プロでは小兵の身長172センチで小技で勝負するタイプかと思いきや、離脱した坂本に代わって練習試合で先発出場し、2本塁打。予想以上の長打力を見せた。

 「坂本の代わりと言うには早いが、若い力が出てきているというのは確実に言える」と原辰徳監督。投手陣にも、開幕ローテーション入りを確実にしている高卒2年目の戸郷翔征ら存在感を示す若手がいる。

 球団は既に、育成だった3人を支配下登録。大型補強ができなかったこともあり、例年以上に「ジャイアンツ球場育ち」の活躍が見られるかもしれない。

(巨人担当・松沢憲司)

DeNA 助っ人活発、長打力十分

 巨人の2連覇を阻む最有力候補だろう。外国人打者が実に活発だ。約2カ月も実戦から遠ざかっていたのに、練習試合では2番か3番に入ったソトとオースティン、5番ロペスが、いずれも3本塁打を放った。

 前後がこれだけ打つと、4番に入る佐野の重圧が減る、という好循環が期待できる。筒香の後継者に指名された25歳の新主将も9日以降に2本塁打を放った。梶谷、宮崎と合わせ、上位の並びは脅威だ。

 先発陣はエース今永に加え、浜口の安定感が光る。上茶谷が右ひじ炎症で離脱したのは誤算だが、平良、ピープルズ、新人坂本(立命大)らが続く。左腕石田を中継ぎにまわし、救援陣に厚みを加えた。

 120試合制のため、4月に10連敗した昨季のような出遅れは致命的になる。ラミレス監督は「後で挽回(ばんかい)という考え方はよくない。開幕から高い集中力で入ることが重要」と言う。経験値では巨人などに劣り、粗さも残る。ただ、チームカラーは明るく、流れをつかめば走る可能性がある。(DeNA・ヤクルト担当・竹田竜世)

阪神 守備固め、勝利の新様式

 15年ぶりのリーグ優勝への鍵は、守備固めにある。試合前半は攻撃的布陣を敷き、リードすれば植田、江越らの守備職人のカードを切る。これがコロナ特例下の「勝利の新様式」だ。

 ここ数年「投高打低」のカラーは変わらず、昨季もチーム防御率はリーグ1位。打力を補うために大リーグ通算92本塁打のボーアを補強したものの、左腕に弱く、劇的な得点力アップは望めないだろう。

 小差で勝つ野球を目指すのに、頭が痛いのが守備の弱さだ。昨季は12球団最多の102失策。そこへ193センチ、122キロの巨漢一塁手ボーアが加わった。外野の両翼は福留が43歳、糸井も今年で39歳。過密日程で体力的に厳しくなる。

 今季に限り、特例で延長十回打ち切りになる。「戦い方も変わってくるし、(投手交代や代打などの)仕掛けも早くなるんじゃないの」と矢野監督。藤川、スアレス、エドワーズら強力救援陣を早めに投入すると同時に守備も固め、逃げ切りを図る。ベンチの逆算力が試されるシーズンになる。(阪神担当・伊藤雅哉)

広島 打線充実、中継ぎに不安

 広島は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言中も一定の練習を積むことが出来た。その中で新たな打撃フォームに手応えをつかみ、練習試合で花開いたのが5年目のメヒアだ。5本塁打、15打点を挙げ、5番の座を射止めた。

 3番には昨季、本塁打と打点で自己最多を更新した西川。4番鈴木誠とともに、得点力の期待できる主軸の形が整った。新加入のピレラは広角に打ち分ける器用さと長打力に加え、俊足が魅力。リードオフマンを担う。昨季右ひざを手術した田中広の打撃にも粘り強さが戻った。勝負強い会沢も残留しており打線は3連覇の時と遜色がない。

 不安は中継ぎ陣だ。佐々岡監督は競争で七~九回の顔ぶれを固定したかったが思うようにいかず。抑えには新外国人スコットを指名し、手探りで滑り出す。

 開幕が遅れたことで、3連覇を支え、昨年11月に右ひざを手術した中崎が1軍に合流できたのは救い。救援陣が固まれば、優勝奪還の可能性は十分にある。投手出身の新監督の采配にも注目だ。(広島担当・藤田絢子)

中日 若手投手陣、奮起がカギ

 中日が7年連続Bクラスの汚名をそそげるかは、若手投手の飛躍と得点力の向上にかかっている。

 開幕の延期で、出遅れていた2年目右腕、梅津が先発陣入りに間に合ったのは大きい。昨季8勝のロメロが3月にけがで離脱したのは痛いが、大野雄、柳の左右の柱は、勝ち星を計算できる。3年目の山本は投げっぷりがよく、5年目の小笠原も安定してきた。救援陣は、岩瀬の引退後、絶対的な守護神がいない。練習試合で抑えとして起用された岡田は不安を残した。新人左腕の橋本(大商大)や4年目の藤嶋、長身のマルティネスらが奮起できるかどうか。

 打線は昨季リーグ1位のチーム打率を誇りながら、総得点は5位で、本塁打数は最下位。今年の練習試合でも、あと一本が出なかった。ドラフト以外は目立った補強をしなかっただけに、足を絡めた積極的な攻撃ができるか。高卒新人の石川昂(愛知・東邦高)と2年目の根尾のスター候補が1軍に上がり、刺激を与えれば面白くなる。

(中日担当・木村健一)

ヤクルト 新4番好調、浮上なるか

 練習試合は2勝7敗2分けに終わり、勝率は2割2分2厘。12球団最低だ。1試合平均4・8点を失った。「これではダメ」と高津新監督。重い課題を抱えたまま開幕に臨む。

 最下位だった昨季のチーム防御率は12球団ワースト。投手陣の再建が最優先課題だが、現状は厳しい。先発陣で安定するのは石川と新外国人イノーアくらい。軸になるはずの小川も期待の高橋、スアレスもぴりっとしない。3月に右手を骨折した捕手・嶋の復帰は心強いが、監督は難しいやりくりを迫られそうだ。

 伝統の攻撃力で弱点をどこまで補えるか。好材料は村上の状態だ。発熱で一時離脱したが、練習試合で3本塁打し、2本は左翼方向だった。逆方向への打球は昨季新人王の持ち味であり、好調ぶりを物語る。

 もう一人のキーマン山田哲は練習試合終盤に上半身のコンディション不良を訴え欠場した。坂口、青木、雄平らとともに20歳の新4番をもり立てていかないと、浮上をめざすチームに力強さは生まれない。

(DeNA・ヤクルト担当・竹田竜世)