拡大する写真・図版渡辺明三冠(左)が初手を指し第2局が始まった。右は豊島将之名人=2020年6月18日午前9時1分、山形県天童市の天童ホテル、迫和義撮影

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 豊島(とよしま)将之(まさゆき)名人(30)に渡辺明三冠(36)が挑戦する第78期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局が18日、山形県天童市の天童ホテルで始まった。後手番ながら第1局を制した渡辺挑戦者が初の名人位獲得に向けリードを広げるか、初めてのタイトル防衛がかかる豊島名人がタイに戻すか、注目の一番だ。

 今期の名人戦では、恒例のファンらを集めた前夜祭や大盤解説会は行わない。新型コロナウイルスの感染防止策をとった上で、対局のみ実施する。両対局者は17日に同所に到着し、対局環境の確認などを行った。名人は「第1局はそれなりの手応えで指せたが、先手番で負けてしまったので、取り返せるようにしたい」、挑戦者は「初めての舞台でいいスタートを切ることができた。明日の対局は大事になってくるので、頑張りたい」と抱負を語った。

 対局は持ち時間が各9時間の2日制。挑戦者の先手番で18日午前9時に始まり夕方に封じ手。19日午前9時に再開し、夜までに決着する見込み。立会人は田中寅彦九段(63)が務める。(村上耕司)

【第78期将棋名人戦第2局】#千田副立会人に聞きたい~封じ手までの局面解説~

18:31

豊島名人「封じます」

 定刻の午後6時半、立会人の田中寅彦九段が「封じ手時刻になりました。(手番の)豊島名人、封じ手をお願いします」と声をかけた。1分後に豊島名人が「封じます」と告げ、封じ手用紙に記入するため別室に移動した。豊島名人が52手目を記入した用紙が入った封筒2通を手に対局室に戻ってきた。封筒2通に渡辺挑戦者もサイン。最終的には豊島名人が田中立会人に封筒2通を手渡して、一連の作業が終了した。

 持ち時間9時間のうち、消費時間は渡辺挑戦者が3時間51分、豊島名人が4時間12分。

 明日は第2局2日目。封じ手が開封され、午前9時から対局再開となる見通しだ。(佐藤圭司)

拡大する写真・図版封じ手を立会人の田中寅彦九段(右)に渡す豊島将之名人。後方は渡辺明三冠=2020年6月18日午後6時36分、山形県天童市の天童ホテル、迫和義撮影

18:20

「やったー」という感じでは…

 午後6時、渡辺挑戦者が7八の金を▲8七金と上がった。解説の千田七段は「『後手に△6四桂を打たせて、やったー』」という感じではないですね」と話す。その前に先手は2六にいた飛車を▲7六飛と回り、後手から△6四桂と打たれて2六に戻っている。

拡大する写真・図版〈途中図〉51手目▲8七金まで

 「先手はできれば6四桂を空振りさせたいところですが、▲8七金と上がるようでは、相手の手を認めているようで、うまくいっている感じはしない」という。

 封じ手時刻の午後6時半が近づき、関係者が準備を始めた。(村上耕司)

17:50

封じ手の駆け引き、今回はどちらが?

 封じ手の定刻である午後6時半が近づいている。「どちらの手番で封じ手にするか」「自分の手番だとしたら、どの手を封じ手にするか」。そんな駆け引きが繰り広げられる時間帯だ。

 1日目の最後の指し手を封筒に収めて翌朝まで保管する封じ手は、2日制の対局ならではのものだ。「定刻を迎えた時点で手番の棋士が封じる」というのがルールで、「どの手を選ぶか悩ましい局面で迎えたくない」という心理が働く。封じ手が悪手だったと気づいても後の祭り。後悔のあまり、一晩中眠れないということになりかねない。

 第1局では、渡辺挑戦者が封じ手の56手目に40分、豊島名人がその直前の55手目に43分を費やした。時間の使い方から、両者の思惑が読み取れるかもしれない。(村瀬信也

【第78期将棋名人戦第2局】#千田副立会人に聞きたい~初日午後の局面解説~

16:33

均衡が取れている消費時間

拡大する写真・図版記録用紙に刻まれる消費時間。指し手の右枠が消費時間の欄で、その中の左上が1手ごとの消費時間、右下が累計消費時間。いずれも単位は分

 午後4時33分、47手目を考える渡辺挑戦者に記録係の鈴木麗音初段が「渡辺先生、3時間使われました」と声をかけた。豊島名人は46手目まで3時間9分使っている。消費時間はほぼバランスがとれているようだ。(村上耕司)

豊島名人、試練の6月

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、開幕が延期された今年の名人戦。第1局から第3局まで、3週続けて行われる異例の日程だが、特に豊島名人にとって今月は「試練の月」となった。

 本局の後、20日には静岡県河津町に移動し、翌21日には永瀬拓矢叡王(27)=王座とあわせ二冠=との叡王戦第1局に臨む。23日には大阪で糸谷哲郎八段(31)と王座戦の挑戦者決定トーナメントがあり、25・26日には東京で名人戦第3局を戦う。対局日以外は全て移動日となる過酷な日程だ。

拡大する写真・図版名人戦第2局、対局室に置かれた「左馬」=迫和義撮影

 豊島名人は2018年3月にもハードスケジュールをこなした経験がある。A級順位戦の挑戦権争いが史上初の6者プレーオフになった年で、豊島名人はわずか15日間で持ち時間6時間のプレーオフを4局、挑戦者として臨んだ王将戦(2日制)の第5局と第6局を戦った。いずれもタイトル獲得にはつながらなかったが、この戦いぶりが評価され、直後に選考が行われた「将棋大賞」で敢闘賞に選ばれている。

 今回の名人戦第1局の前、豊島名人は「もともときつい日程と思っていたが、2カ月休んだことでかなり大変なのかと思っている。でも、きつい日程の後に実力がついたこともあったので頑張りたい」と話した。過去の経験をどう生かして対局に臨んでいるのかも興味深いところだ。(村瀬信也

藤井七段とタイトル戦への配慮

 将棋名人戦第2局1日目の昼食は、豊島将之名人が「本鮪ちらし寿司」、挑戦者の渡辺明三冠は「山形牛すきやき丼」だった。値段は公表されていないが、1日目の「昼食対決」はほぼ同格と言ってよさそうだ。

拡大する写真・図版渡辺三冠が注文したものと同じ「うな重(竹)」

 昼食対決と言えば、6月8日に東京・将棋会館で行われた第91期棋聖戦五番勝負の第1局が注目された。藤井聡太七段がタイトル戦に初めて登場した記念すべき日だ。藤井七段はこの日、980円のカツカレーを注文した。これに対してタイトル保持者の渡辺明棋聖は3600円のうな重(竹)と赤だし。価格差が大きかったのだ。これについて「渡辺棋聖は相手の藤井七段が高いものを頼みやすいように高価なものを頼んだのではないか」と話題になった。

 名人戦第1局が終わった11日…

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