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 道内のバス事業者が、新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされている。緊急事態宣言は解除されたものの、札幌と他地域との往来自粛は続き、都市間高速バスの本数は減ったままだ。19日には道内外の移動が緩和される見込みだが、外国人観光客の回復のめどは立たず、不透明な状況が続く。

 今月1日、道による事業者への休業要請解除を受け、道央圏を中心に運行する北海道中央バス(小樽市)は、生活路線をほぼ通常ダイヤに戻した。休業要請の間は休日ダイヤだった。札幌と旭川、函館など道内各地を結ぶ都市間バスは、30路線792便(共同運行便を含む)で半減が続いていたが、19日から一部で運行を再開させる。

 収入への影響は甚大だ。札幌―新千歳空港間の連絡バスの収入は4月ごろから前年比で9割減、30路線ある都市間バスは7割減となっている。路線バスも4月で4割、5月で6割減となった。4月下旬から運転手やガイドを対象とした一時帰休も実施している。

 二階堂恭仁社長は「バスが地域を支え続けられるよう、生活路線の補助金制度の拡充など、国や自治体からの支援を望んでいる」と訴える。そのうえで「不要不急の外出を控える世の中では運行方法も変えていかなければ。時差出勤が定着すれば、朝の運行も今より減らせるのではないか」と語る。

 旭川市に本社のある道北バスも3、4月の収入は、路線バスが前年比4割減、都市間バスが6割減だった。同社は札幌との都市間バスの黒字で、他の路線の赤字を埋めてきた。だが頼みの札幌便は、運休便を一部再開するものの、通常本数に戻るめどはたっていない。踊場稔洋常務は「出口がなかなか見えず厳しい。この状況が続くようであれば、生活路線の減便も考えなければならない」と口にする。

 十勝バス(帯広市)も、路線バスの21系統中10系統について、平日でも休日ダイヤで運行している。路線バスの4~5月の利用客数は例年の4~5割減と状況は厳しい。

 一方、同社はスマホを使ってバスやタクシーなど複数の交通手段を1カ所で調べられ、人のスムーズな移動を可能にするサービス「MaaS(マース)」に向けての実証実験を行うなど、先進的な取り組みも進めている。野村文吾社長は「コロナと共生する時代だ。新しい公共交通機関のスタイルの確立を、コロナを機に前倒ししてやらないといけない」。

 北海道バス協会が5月末、加盟する道内123のバス会社に新型コロナの影響を調査したところ、乗り合いバス業の収入は3月が前年同月比28・5%減、4月はさらに20ポイントほど下がり、47・6%減だった。

 同協会の担当者は、19日から国内の往来自粛が解除される見通しのため、乗り合いバスではある程度収入の回復が期待できるとみる。一方で外国人観光客向けの需要が高かった観光バス事業については、コロナ以前と同じ水準に戻るには時間がかかるとの見方を示している。(前田健汰、中沢滋人、本田大次郎)