拡大する写真・図版山梨実験センターの前を通過するリニアの車両=2014年9月、山梨県都留市

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 品川―名古屋間を最速40分でつなぐリニア中央新幹線の2027年の開業が、延期の瀬戸際に立っている。静岡県内を通る約8.9キロの区間の着工に県や近隣市町が同意しておらず、6月中に工事に着手できないと「27年開業が困難」とJR東海が表明したためだ。16日には、川勝平太知事と近隣市町の首長らがウェブ会議を開き、現段階では工事の着手は認められないとの意見で一致した。川勝知事は近く、JR東海の金子慎社長と会談して意向を伝える見通しだ。

 静岡県内でリニアに関する取材をしていると、県外の人から「静岡県がごねているからリニア開業が滞る」と言われることが多い。なぜ静岡県は反発しているのか。なにが問題なのか。2年以上取材してきた担当記者として、しっかりと説明してみたい。

対立の原点は?

拡大する写真・図版南アルプストンネル工事のイメージ

 問題となっている工事の現場は、静岡市中心部から車で4時間以上かかる南アルプス山中で、県中部を流れる大井川の源流だ。静岡県や流域の8市2町は、南アルプスの地下を貫通するトンネル工事の影響で大井川の水量や地下水が減ることを懸念し、JR東海に説明と対策を求めてきた。

 大井川は、流域住民約62万人の生活を支えている。飲用水だけでなく、全国有数の茶畑に使う農業用水、製紙工場や自動車工場への工業用水にも不可欠だ。国土交通省でリニアを推進する国土審議会の委員をつとめた川勝知事は「リニア自体には反対ではない」としつつ、水問題は「流域市町の死活にかかわる」と譲らない構えだ。

拡大する写真・図版大井川の水量が減少傾向にある河口部分。後方が南アルプス=2019年11月、朝日新聞社ヘリから

 JR東海がトンネル工事に着工するには、河川法に基づいて、静岡県から大井川上流の河川占用許可を取る必要がある。同法は「治水または利水上の支障がない」ことを許可条件にしており、県はJR東海との協議をこの手続きの一部に位置づけている。

 県のこうした姿勢は流域住民の…

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