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 札幌市内の「昼カラオケ」の店舗で新型コロナウイルスの感染が広がっているが、市は集団感染が発生した店の一部は利用者が限定されているとして店名を公表していない。この対応により、無関係の店が「感染者が出た」とされる風評被害も出始めている。

 昼カラオケとはスナックや喫茶店などで、昼間に軽食や飲み物とカラオケがセットで提供される業態を指す。市は、不特定多数の客が同じ空間で歌い、一定時間滞在することで感染リスクがあると説明している。市内ではクラスターが発生した店もあるが、市は全ての店舗名は明かしていない。

 一方、札幌市厚別区のカラオケ喫茶「深海魚」は感染者が出ていないにもかかわらず、インターネット上では「集団感染の店」として名前が挙げられていた。女性店主は「今店を閉めたら感染者が出た店だと勘違いされる。店を開けてやり過ごすしかない」と語る。

 カラオケ喫茶は休業要請の対象ではなかったが、女性の店は今月初めまで営業を自粛していた。再開後もカウンターとの間には仕切りを作り、席の間隔を空け、マイクを消毒するなど対策も徹底してきた。

 誤解を解こうと、店名を出して新聞やテレビの取材にも応じたが、事態は収まらないどころか、むしろ悪化した。うわさを信じた常連客から「感染者が出たらしいけど大丈夫か」と連絡が来たこともあった。

 女性は市が集団感染が発生した店や場所を明らかにしないことが、風評被害の温床になっていると指摘。「複数の店に通っている昼カラオケファンも多い。感染防止のためにも、店名が無理ならせめて区名だけでも公表してほしい」と訴えている。(武田啓亮)