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 2匹の魚がけんかをしているとき、脳の中で遺伝子の働きが似てくることを北里大の岡田典弘特任教授らのチームが発見した。行動をコントロールする脳の働きが同調している可能性があるといい、闘いだけでなく、共感などのような相手と密接に関係する仕組みを解明する手がかりになるかもしれないという。

拡大する写真・図版研究に使われたアジア原産の熱帯魚ベタ(闘魚)=北里大提供

 アジア原産の熱帯魚ベタは闘魚とも呼ばれ、オスの縄張りに他のオスが入ってくると威嚇したり、攻撃したりする。特殊な器官をもち、水面に顔を出して空気呼吸する性質もある。

 チームは水槽に2匹のオスを入れ、かみつきあってけんかする様子を録画して分析した。すると、かみついたり、水面で息継ぎをしたりする行動のパターンが似てきた。

 脳の遺伝子の働きを調べると、けんかを60分した5ペアは遺伝子約2400個のうち737個で働きが似ていた。ただ、あるペアでよく働いていた遺伝子が別のペアでは少しだけというように、働き方はペアごとに異なっていた。けんかが20分だけだったペアでは似る傾向は弱かった。

 魚同士が相手の能力を見極めるために密接に行動すると、行動をコントロールする脳の働きが同調し、遺伝子の働きが似たと岡田さんは推察する。魚以外でも食料やメスを奪い合って争う場合、深刻な傷を負う前に相手の能力を見極めて勝敗をつけることが多い。岡田さんは「闘いを高度にコントロールしているとも言え、ほかの動物でも同じ仕組みがあると考えられる」と話した。

 研究成果は米専門誌のサイト(http://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1008831別ウインドウで開きます)で読める。(瀬川茂子

拡大する写真・図版水槽に入れたベタ(闘魚)のオス。1時間以上、闘い続けることもある=北里大提供