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 新型コロナウイルス対策として宮城県内の大半の大学が取り組んできたオンラインによる遠隔授業。県内の公立学校などが本格的に授業を再開し、大学でも徐々に見直しの動きが出てきた。ただ、感染拡大の第2波への備えも必要で、態勢の維持はまだ続きそうだ。(高橋昌宏)

 県内の小中高校などは6月に入って本格的に再開。これに続く形で、大学でも実習などに限って学内での対面授業を模索する動きが目立つ。

 東北大は19日、感染拡大防止のための行動指針をレベル2から1に引き下げる予定だ。これによって、実技・実験・実習を中心に、一部で対面授業ができるようになる。実際に対面でするかどうかは担当教員が判断する。

 在籍する約1万8千人の学生たちの中には、県外の実家でオンライン授業を受けてきた人も多いという。このため、大学側は出席が必要となった場合に備えて、通学の準備を促している。ただ、実際に対面授業を始めるのは7月以降になりそうだ。前期は感染を防ぐためにオンライン授業が中心となる見込みだ。

 宮城教育大は、音楽や体育の演習・実技などの一部科目で対面授業を今月29日から再開する。県内の感染状況などを勘案したうえで判断したという。仙台白百合女子大は7月から実習やゼミなどに限って実施する。東北工業大など、すでに学内で一部の授業を始めているところもある。

 さらに、東北生活文化大は今月29日から、原則として対面授業へと移行する。

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 ただ、早々に前期の授業すべてを原則オンラインに決めた大学もある。

 「皆さん、こんにちは。前回の振り返りからです」。東北学院大の土樋キャンパス(仙台市青葉区)で5月下旬、文学部の稲垣忠教授がパソコンに語りかけていた。

 学院大は4月中旬、8月12日までの前期すべてを原則としてオンラインと決めた。なぜか。

 学生数が1万人を超える総合大学で、科目によっては100~200人、あるいはそれ以上の学生が一つの教室に集まる。大学側は「大人数の講義や、人数が少なくても十分な感染予防が保証できない演習・実習・実験などを実施することで、クラスター(感染者集団)が発生しうる危険性があると考えた」と当時の状況を説明する。さらに、通学で地下鉄やバスを利用することで、感染する恐れがあることも後押しした。

 ただ、課題もある。学長特別補佐として学内の遠隔授業の準備を率いてきた稲垣教授は、画面上でのやりとりでは学生たちの反応をつかみにくいと感じている。授業後に感想を募ったり、授業中に質問したりと工夫はするが、「従来の授業とは異なるコミュニケーションが求められる」と話す。

 今月15日には、教員と学生の合意を条件に、前期に対面授業を認める方向で検討を進めるとの方針を学長名で伝えた。

 後期への対応は未定だ。稲垣教授は「対面授業を復活するにしても、第2波、第3波に備えて途中で遠隔に切り替えられる態勢は維持すべきだろう」。

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 オンライン授業の課題や工夫を共有する試みもある。

 東北大は5月、教員らを対象にウェブでシンポジウムを開いた。医学系研究科の虫明元教授は、150人が参加する生理学の講義を、1グループ5人の計30グループに分けて学生間の議論を促したと報告。

 大人数での通信となるため学生側の映像が映らないよう設定する授業もある。経済学研究科の古谷豊准教授は、理解度を絵文字やコメントで気軽に反応できるよう工夫しているという。

 このほか、好きな時間に見られるオンデマンド型の授業だと、深夜に視聴する学生が一定数いることが分かった。昼夜が逆転するため生活リズムに乱れが起きると懸念する声もあった。リズムを保つため午前中にホームルームを開く研究室がある一方で、研究室に所属していない新入生らへの対応は難しいといった指摘も出た。

前期授業の対応

【国公立大】

・東北大      7月以降に一部で対面

・宮城教育大    29日から一部で対面

・宮城大      一部実習のみ対面

【私立大】

・石巻専修大    29日から一部で対面

・尚絅学院大    一部で対面を予定

・仙台白百合女子大 7月から一部で対面

・仙台大      7月から一部で対面

・宮城学院女子大  音楽科一部実技は学内

・東北医科薬科大  一部を対面授業へ

・東北学院大    原則として遠隔授業

・東北工業大    一部のみ対面を実施

・東北生活文化大  29日から対面に移行

・東北福祉大    一部で対面を検討

・東北文化学園大  一部のみ対面を実施

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