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 だまされてウェブマネーカードを買いに来た客に声をかけ、詐欺被害を防いだコンビニ店長は、110番通報したことを悔やんでいた。通報したことで常連客を傷つけてしまったのではないか。そんな店長に感謝状を贈った警察署長は、通報者の悩みに理解を示しつつ、通報への協力を求めた。

 5月27日午前11時ごろ、北九州市若松区のセブンイレブン若松青葉台南2丁目店に60代の男性客が訪れた。店員の高橋沙也加さん(28)にとっては毎日たばこを買いに来る顔なじみだが、この日は「ウェブマネーカードを買いたい」。

 ウェブマネーは、身分証明の必要もなくコンビニなどで簡単に購入できるので、若者を中心に利用が広がっているが、男性には縁のない商品だった。不思議に思い、見せてもらった携帯電話の画面には「7千万円が当たりました」という文言と、手数料として2千円分のウェブマネーを買うように指示が書かれていた。

 「明らかにおかしいです」。事務室に駆け込んできた高橋さんから話を聞いた店長の本田裕子さん(39)は、男性に「ウェブマネーについて問い合わせてみます」と伝えて、こっそり110番通報した。しばらくすると警察官数人が駆けつけ、被害は防がれた。

 本田さんと高橋さんには今月12日、福岡県警若松署から感謝状が贈られた。

 だが、本田さんはすっきりしない様子だった。警察官に話を聞かれ戸惑う男性のことが気になっていた。「詐欺と伝えずに、だますように警察を呼んでしまった。詐欺と伝えれば良かったし、そもそも警察を呼ばなくてよかったかも……」

 悔やむ本田さんに磯辺芳文署長は、警察も被害者を戸惑わせないような対応をしていかないといけないとした上で、「被害者を悩ませてしまうと考えるかもしれないが、被害を入り口で止めてくれたことは大きい」と声をかけた。

 磯辺署長によると、通報を受けたものの、結局詐欺ではなかったと判明することはよくあるという。それでも磯辺署長は、「通報で周囲には注意喚起できる。『警察に言われているから』と警察のせいにしてもらってかまわないので、これからも通報して」と協力を呼びかけた。(板倉大地)