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 入院患者に仮想現実(VR)で外出を疑似的に体験してもらう試みを、NTTドコモと医療情報サイト運営のエムスリーなどが始めた。まずは関東などの四つの医療機関で実験を重ね、有料での提供をめざす。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて面会を制限する施設は多い。家族との「VR面会」にも使っていく計画だ。

 「わあすごい。目の前をサメが通りました」

 15日、千葉市にある千葉県千葉リハビリテーションセンターのリハビリ室に、前原信子さん(74)の声が響いた。

 VRゴーグルをかけて見ていたのは、海に潜った映像だ。1日に入院して、ひざに人工骨を入れる手術を受けた。屋内でリハビリに取り組み、入院後外出したのは1回だけ。まだ退院のめどは立っていない。VRを使った「外出」について「気分転換になります」と話した。

 このリハビリセンターは長めの入院患者が多い。コロナの感染が拡大した4月下旬~6月上旬には、家族らとの面会や患者の外出や外泊を禁止せざるを得なくなった。

 こうした入院生活の「質を向上させたい」と、ドコモの担当者は話す。今後はVRで自宅とつないで家族と食卓を囲むような「バーチャル面会」も検討。ビデオ通話などを使ったインフォームド・コンセント(十分な説明による同意)やセカンドオピニオンの導入も視野に入れる。

 医療現場では、コロナ拡大を受けてオンライン診療が広がるなど、IT化が急速に進んでいる。患者と医療従事者の接触回数を減らすため、見回りをせずに医療機器の数値を確認できる遠隔技術のニーズも増えているという。(井上亮)