ガガは137億円…著名人の支援活動、欧米はなぜ盛ん?
コロナQ&A(海外編) 回答:音楽評論家・萩原健太さん
新型コロナウイルスをめぐる諸外国の動きは様々です。記者が日々の取材をするなかで気になったテーマを、識者に尋ねました。
Q 新型コロナウイルスに対処する医療従事者を応援するため、歌手のレディー・ガガさんが4月に呼びかけたチャリティーコンサートで137億円の寄付が集まりました。国外で著名人による社会活動が盛んな背景は何でしょうか。
A この催しにはポール・マッカートニーさんやエルトン・ジョンさんら、米英など100組以上の音楽家らが参加しました。世界で2300万人が視聴し、寄付金は世界保健機関(WHO)の新型コロナ対策基金などに贈られました。
欧米の著名人は、社会の関心事に意思表示し、連帯や行動を呼びかけることを「自身の役割」と捉えています。特に米国では「芸能文化は20世紀をかけて作り上げた、国のかけがえのない財産だ」との考え方があり、音楽や映画、演劇など文化全般に対するリスペクトが社会に根付いています。著名人たちも担い手としての責任を意識し、「よりよい社会の実現のために意思表示することは、社会の影響力ある構成員の一人として背負うべき役割だ」と考えて、イベント開催や寄付を呼びかけるのです。
また、有事の際、海外の著名人が高額の寄付をする姿も見られますが、これは欧米の税制が寄付をするほど課税時に優遇措置を受けられる内容になっているという背景もあります。
一方、日本社会には、「音楽をやっている人は音楽だけやっていればいい」という意識が根強いと感じます。文化、芸術に対する敬意が薄いのでしょう。ただ、著名人にも自由に発言する権利があります。コロナ危機で日本の著名人の発信も目立つようになりました。今後、社会の意識が変わっていくといいですね。(聞き手・半田尚子)
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萩原健太(はぎわら・けんた) 音楽評論家。出版社の編集者を経てフリーとなり、テレビ、ラジオなどで活躍。国内外の音楽事情に精通する。
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