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コロナQ&A(海外編) 回答:待鳥聡史・京大教授

新型コロナウイルスをめぐる諸外国の動きは様々です。記者が日々の取材をするなかで気になったテーマを、識者に尋ねました。

 Q 英国では4月、新型コロナウイルスに感染したジョンソン首相が集中治療室に入り、外相が一時職務を代行しました。各国で同様の事態が起きたら、どうなるのでしょうか。

 A 英国では、緊急時にどの役職の人を臨時の首相にするのか法律上の規定はありません。今回、ラーブ外相が指名されたのは、筆頭国務大臣でもあり、ジョンソン首相との関係も近かったためと考えられます。

 英国の憲法は単一の法典の形をとらず、マグナ・カルタ(大憲章)や歴史的慣行など様々な組み合わせで政府や内閣、首相の地位や権限が定まっています。その点では日本と比べ、あいまいさがあります。

 日本は組閣の際、内閣法9条に基づき「臨時代理予定者」を割り当てることになっています。優先順位をつけて5人を指名する形で、現安倍内閣では①麻生太郎副総理兼財務相、②菅義偉官房長官、③茂木敏充外相、④高市早苗総務相、⑤河野太郎防衛相の順。仮に安倍晋三首相が病気などで政権運営ができなくなれば、麻生副総理が臨時代理を務めることになります。

 米国は大統領制ですが、合衆国憲法修正25条に規定があります。大統領死亡などの場合は副大統領が大統領に昇格、一時的な職務不能の場合は副大統領が大統領代理になります。韓国では国務総理が、フランスでは上院議長が代行すると憲法に規定があり、制度は各国それぞれです。

 首相や大統領の代理の権限は、明確でない場合が多いですが、代理はあくまでも政治的空白を生まないための短期的穴埋めで、大きな権限を行使することは想定されていません。(聞き手・植松佳香)

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 待鳥聡史(まちどり・さとし) 京大法学部教授。専門は比較政治。特に現代の米国や日本の政治について、仕組みやルールの効果を中心に分析している。