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 仕事の内容を細かく示して、その仕事ができる人を雇う欧米流の「ジョブ型」雇用を採り入れる動きが、大企業を中心に広がっている。新卒者を一括採用して社内で育てる日本流の終身雇用は、時代に合わないのか。従業員の半数以上を海外が占める東レの日覚昭広(にっかくあきひろ)社長に、雇用のあり方を聞いた。

 東レは、いわゆる終身雇用的な考え方でやっているし、これからもずっとそうでしょう。終身雇用だから安定しているといっても、ちゃんと競争はあるし、みんなの生活が成り立ついい仕組みだと思います。

 一方、アメリカなどはジョブ型で、雇う時に一人ひとりに、あなたにはこういう仕事をしてもらいますとジョブ・ディスクリプション(職務記述書)で明確にし、給料はいくらですという仕組みです。

 しかし、私たちの仕事の中には、ジョブ・ディスクリプションに書けない、あいまいな部分がかなりあると思います。本当に大事なのは、常にクリエーティブな発想をすることでしょう。だから、欧米のグループ会社で現地出身の幹部と話すと、東レの日本流のやり方がいいと言います。

 東レでは、飛行機などに使われる炭素繊維は、事業として成り立つまで50年以上かかったし、海水の淡水化装置などに使われるRO膜(逆浸透膜)も50年かかっています。その間、赤字でも事業の中身を知っている人が研究開発を続け、使い道を開拓してつないできたのです。素材産業は、10年、20年の技術の蓄積がないと、新しいものを生み出せないのです。(聞き手・真海喬生、諏訪和仁)