「世間の目」もう大丈夫? 移動自粛解除、観光地の期待

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木下こゆる
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 政府が19日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために求めてきた移動自粛要請を全国で解除し、観光客を呼び込む動きが各地で始まった。宿泊者向けキャンペーンが続々と企画されているが、地元からは「客足が戻るのはまだ先になるのでは」と心配する声も出る。

お盆までには

 大阪市中心部の繁華街、道頓堀。19日午前、行き交う人の姿はまばらだった。小雨が降る中、客を呼び込んでいた老舗たこ焼き店「本家大たこ」の尾下雅規さん(37)は「移動が解禁になったとはいえ、客足が戻るのはまだ先になると思う」と言う。

 5月中旬に営業再開した鉄板料理店「鉄板神社」も、客足は昨年の2割程度という。塚本時生店長(26)は「お盆までには人出が戻ってほしい」と話す。

 観光庁によると、大阪府では3月の宿泊者数が昨年から7割近く落ち込んだ。府と大阪市は19日、府内に宿泊した人に2500円分のポイントを還元するキャンペーンを開始した。

 兵庫県も、温泉地の宿泊客に、周辺の店舗で使える「おみやげ購入券」を最大2千円分贈るキャンペーンを計画。計4億5千万円分を発行する見通しだ。

 湯村温泉観光協会(兵庫県新温泉町)の朝野泰昌(やすまさ)会長(63)は「個人客を取り込むきっかけになれば」と県の取り組みを歓迎。ただ、「貸し切りバスを使った社員旅行など、団体客は秋まであまり見込めないだろう」とも話す。

 有馬温泉観光協会(神戸市北区)によると、6月の観光客は昨年に比べ約8割減少した。創業800年の温泉宿「御所坊」を経営する金井啓修(ひろのぶ)さん(65)は、客の減少について「万一のことがあったら批判される、と『世間の目』を気にしていた」と分析。移動自粛要請解除に「心理的にも出かけやすくなるのでは」と期待する。

県外客頼み

 石川県は今月8日、県民を対象に宿泊料の最大半額を割り引く事業を開始。申請は1週間で予算枠の4億円に達する勢いで、県は予算を増やす方針だが、谷本正憲知事は「東京抜きに地域経済は成り立たない」と、県外客の増加にも期待する。金沢市中心部では19日、観光案内所もオープンした。

 昨年約72万人の利用客があ…

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