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(19日、プロ野球 広島5―1DeNA)

 独壇場だった。雨のスタジアムで、広島のエース大瀬良は最後までマウンドに立ち続けた。九回2死一、二塁。二回に本塁打されたロペスを遊ゴロに仕留めると、真一文字に結んだ口元をようやくほどいた。

 「状態は正直よくなかったけど、投げ切れてよかった」。4安打1失点。12球団の中で完投勝利一番乗りを飾った。

 新型コロナウイルスの影響で開幕が約3カ月遅れた。無観客試合とはいえ、この一日をファンがどれほど待っていたかを、29歳は十分に理解していた。「僕たちもこの日を待ちわびていた。ファンの方にいいプレーを届けたいと思っていた」

 雨で試合開始が30分遅れたが、2年連続開幕を任された右腕は動じない。ベンチで直前まで資料を読み込み、備えた。ぬかるむマウンドに立ち、「いつも通りいくとバランスが崩れる。コントロールよく丁寧に」。力勝負を捨て、低めに球を集めた。

 「取られた点を取り返す」。五回1死三塁で中前適時打を放ち、試合を振り出しに戻す。九回には右翼席に飛び込むプロ初本塁打でベンチをどよめかせた。

 この日は、チームが昨季0勝5敗と苦しんだDeNAの今永との対決だった。優勝奪還のためにも攻略しておきたい相手に、堂々と投げ勝った。「就任した時から開幕投手は大地に決めていた」と絶大の信頼を寄せてくれた佐々岡新監督に、記念の1勝を贈った。(藤田絢子)