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(19日、プロ野球 ソフトバンク2―1ロッテ)

 抜擢(ばってき)に、最後の最後で応えた。6年目で初の開幕スタメンを勝ち取ったソフトバンクの栗原陵矢。同点の延長十回、2死三塁から中前へサヨナラ打を放った。「なんとか、なんとか自分でしてやろうと」

 ベンチから飛び出したチームメートとは距離を取りつつ、ひじタッチなどで祝福をかわした。「みんなでわーっとしたい思いはあるが、ハイタッチらしいことをできてよかった」

 本職は捕手だが、正捕手・甲斐の壁は厚い。強打を見込まれ、外野や一塁を守れるように首脳陣から指示され、取り組んできた。昨季は代打で勝負強さの一端をみせ、迎えた今季。練習試合で打率は3割超え、不振の内川に代わって一塁手で出番をつかんだ。

 スタメンを開幕日の朝に聞き、「緊張もあった」。3打席目まで2三振など、鋭い振りがなりを潜めた。硬さを周囲もみてとっていた。試合中には今宮が「とにかく、なんでもいいからバットを振れ」といえば、サヨナラ打の前には柳田が「リラックス、リラックス」。重圧を乗り越えただけに、工藤監督の喜びもひとしおだ。「こういうこと(コロナ対策の状況)でなければ、抱きしめてあげたい気持ちでいっぱい」

 「みなさんの言葉で気持ちが楽になり、最後は振れた」と栗原。そして初々しくも、力強く言った。「残り119試合、全部出る気で、1試合1試合を戦う」。期待の23歳が、確かな自信をつかんだ。(藤木健