岡山)アベノマスクと交換でタマネギ詰め放題
「アベノマスク」とタマネギを無料で交換します――。岡山市中央卸売市場(同市南区)で青果や鮮魚を販売する「岡山市場ネット」が、先週サービスを開始した。新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた農家を支援しようと考案した。29日まで続ける。
21日は午前8時の開店直後から行列ができた。政府が各世帯に2枚ずつ配る布マスクを店に寄付し、縦約30センチ、横約20センチの専用ネットと交換。そこにタマネギを詰め放題という仕組みだ。交換できるのは未開封のマスクに限る。この日は約460キロ分の県産タマネギを用意したが、約500グラムの大玉を四つ詰め込む人もいて、2時間ほどで品切れになった。
飲食店の営業自粛などが響き、タマネギの需要は減少。岡山市場ネットの矢吹一郎代表(71)によると、特に個人農家の出荷品の販売価格は、生産コストなどに基づく再生産価格を下回り、赤字となるケースが増えたという。矢吹代表は「個人出荷の商品は個性的な品物もあり、市場の潤滑油になっている。少しでもお役に立てればと始めた」と狙いを説明した。
岡山市南区の理容師の男性(72)は、別世帯の長女からもらった1組を合わせ、計4枚2組の布マスクをネット2枚と交換。妻と一緒にタマネギをぱんぱんに詰め込んだ。男性宅にマスクが届いたのは今月3日だったといい、「不織布マスクを買いだめした後だった。届くのが遅い。税金の無駄遣いじゃ」と不満を漏らした。同区のパート従業員女性(52)は「元々アベノマスクを使うつもりはなかった。寄付して、タマネギに換えた方が価値がある」と考えた。「タマネギは万能。カレーやみそ汁に使いたい」
21日までにタマネギと交換された布マスクは1600枚を超えた。今後、社会福祉協議会などから要望を募集し、寄付する予定だ。(中村建太)
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