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 昨秋の台風19号時、住民避難が大混乱したことを受け、埼玉県加須市が全世帯約4万7千戸への無償貸与を始めた防災ラジオで防災情報を受信しにくい世帯があることが分かった。受信状態が改善しなければ、全戸普及が滞る可能性がある。

 「防災無線放送がよく聞こえない」という苦情が台風19号の際に多く寄せられたことから、市は約4億7千万円を投じて、防災ラジオの全戸無償貸与を決めた。一般放送の受信中でも防災放送に強制的に切り替わるもので、5月半ば、水害時に避難の必要性が高い北川辺地区から配布が始まり、これまで約1600戸に届けられた。

 ところが、1階にラジオを置くと雑音が入って防災放送がよく聞こえない家が見つかった。放送の発信アンテナがある北川辺総合支所側に大きな建物などがある家などでも受信障害が起きていることがわかった。

 同支所には約1カ月間で受信障害に関する苦情が約30件寄せられた。職員が各戸に出向いてコード式室内アンテナを調整するなどして対応したが、改善できず保留になっている世帯が3戸あるという。「避難情報が実際に必要になる暴風雨時に受信できなかったら、と考えると心配」という声も出てきている。

 市危機管理防災課によると、全世帯配布の方針に対し貸与を申請した世帯は5月末で1万3千戸余と、全体の3割弱にとどまる。屋外アンテナを立てるといった受信側の個別対策のほか、国から割り当てられている発信出力を上げるなど抜本的な対策も検討するという。(高橋町彰)