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コロナ対策成功、正統性得た一党独裁 ベトナムの未来は

有料記事新型コロナウイルス

聞き手・宋光祐
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 ベトナム新型コロナウイルスによる死者が今も「ゼロ」だ。一党支配下の政府による徹底した封じ込め策は国民の高い評価を得ているものの、自由を代償にしたやり方は果たして、望ましい姿なのか。ベトナムで市民運動に携わり、民主主義を追求している論客、グエン・クアン・アさんに聞いた。

 ――ベトナムは新型コロナウイルスの封じ込めに成功した国とされます。決め手は何でしたか。

 「自国の医療システムがいかに脆弱(ぜいじゃく)か、政府はわかっていたということでしょう。政府は感染者だけでなく濃厚接触者や、さらにその接触者らを特定し、隔離しました。村全体を隔離した例もあります。医療体制の許容範囲に感染者数を抑え込むため、できることを徹底した。それが感染者の少なさや『死者ゼロ』につながったと見ています」

グエン・クアン・ア

1946年、ベトナム北部バクニン省生まれ。ブダペスト工科経済大学で学ぶ。ベトナム初の民間シンクタンク「開発研究所」を創設。

 ――欧米などの民主主義国では徹底した隔離を強制できません。

 「中国も厳しい措置で感染を封じ込めました。共通するのは共産党の一党支配体制です。警察や軍、青年団体などあらゆる組織を政府の統制で動かせる『動員社会』であり、抑圧的手段も辞さない。自由を手にしたことのない国民が従順であるとも言えるでしょう。しかし対策の結果を左右したのは体制の問題ではありません。民主主義が根付いた台湾や韓国は、中国やベトナムよりうまく対応しているではありませんか」

 ――だとすれば、各国で差が出たのはなぜでしょう。

 「指導者の姿勢でしょう。指…

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