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 新型コロナウイルスの感染者の接触追跡アプリの導入が、欧米でも広がり始めた。ただ、プライバシーの意識が強い欧州では、仕組みを巡り試行錯誤が続く。導入ペースも緩やかで、聞き取り調査など他の感染防止策と補完させて活用すべきだという声がある。

 パリ郊外のテレビ局で音声技師として働くギヨーム・モベールさん(34)は、6月初旬に追跡アプリ「STOP COVID」をダウンロードした。スマートフォン上で個人情報の扱いなどに同意する手続きは数分で済んだ。

 過去数日の間に感染者と15分以上、1メートル以内の距離で接した場合、自動的に通知が来る。モベールさんは電車を避けて自家用車で通勤し、職場も消毒が徹底されている。アプリのアラームは、今のところ鳴らない。「これで感染が防げるなら便利」。両親にも利用を勧めたという。

 ドイツも16日に追跡アプリを導入。政府担当者は「世界最高のアプリだ」と胸を張り、「ダウンロードするのは個人には小さな一歩だが、パンデミックとの戦いの大きな一歩だ」と利用を呼びかけた。ドイツが導入したアプリは、他人との接触情報を個人のスマホ内にとどめる「分散型」技術と呼ばれ、個人情報は守られる。日本と同様、米IT大手のアップルとグーグルの技術に頼る。ドイツでは国民の46%がアプリに否定的との研究機関調査もあったが、19日までに960万ダウンロードされた。

監視につながる?大事な情報こそ政府に?

 個人情報の扱いを厳しく規制する一般データ保護規則(GDPR)を定める欧州連合(EU)は、4月にコロナ対策でもプライバシー保護を徹底するよう指針を作成。欧州では当初、独仏伊など8カ国でアプリ技術を作り、データを政府で管理する「集中型」の仕組みを作ろうとした。

 しかし、政府がデータを一括管理する仕組みは、保健当局が感染経路や集団感染を把握しやすい利点がある半面、政府の「監視」につながるとの批判を呼んだ。その後、この枠組みは崩れ、ドイツやイタリア、スペインなど多くの国がアップル・グーグル方式に雪崩を打った。

 ベルリン在住で情報技術とプライバシーの問題に詳しい専門家の武邑光裕氏は「コロナ禍が去った後も、政府が市民の行動監視が可能な仕組みが残る事態には慎重であるべきだという考えが、戦争で苦い経験を持つドイツには根づいている」と指摘する。

 一方、フランスは「分散型」ではなく、政府がデータを管理する「集中型」を貫いた。「情報は匿名化され、個人は特定されない」とし、「大事な情報こそ企業ではなく政府が預かるべきだ」とも訴える。

 英国も、政府が情報を管理する方式でアプリを独自開発し、南部のワイト島で試験運用中だ。ただ、技術的な問題から、5月中旬とされた全国展開は大きく遅れ、政府は18日、アップル・グーグルと技術協力することも示唆した。

カギは普及率 フランスは3%未満

 有効性の確保にはまだ重要な要素がある。

 一つは互換性だ。国境を意識せずに人々が動き回れるEUでは特に重要となる。EUは17日、加盟各国の追跡アプリで集めた情報を互いに交換できる措置を発表した。ただ、今回は「分散型」のみで、フランスは対象外になるようだ。

 カギを握るのが普及率だ。英オ…

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