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 新型コロナウイルスの感染拡大による休業要請が全面解除されたことを受け、東京・銀座の夜にネオンの明かりが戻りつつある。

 高級ブランド店が立ち並ぶ並木通りの一角にあるビルの4階。1978年創業の老舗クラブ「ザボン」は22日夜、営業を再開した。

拡大する写真・図版感染防止のためフェースシールドと手袋を着けて、接客する「ザボン」のママ・水口素子さん。店内には、常連客の作家が描いた作品が並ぶ=2020年6月22日午後、東京都中央区、藤原伸雄撮影

拡大する写真・図版感染防止のためフェースシールドと手袋を着けて、接客する「ザボン」のママ・水口素子さん=2020年6月22日午後、東京都中央区、藤原伸雄撮影

 常連客の著名な作家らの作品が飾られている店内に入ると、透明のフェースシールドと手袋を着用した従業員たちの、出迎えを受ける。客には入店時に手指の消毒と検温を求め、客席は1メートル間隔を空け、各テーブルには消毒液を置く。グラスやお酒のボトルには抗菌シートをかぶせた。

 50年にわたり、銀座のクラブで働くママの水口素子さんは「銀座は義理と人情の街。活気ある元の姿に早く戻ってほしい」と話す。バブル経済崩壊やリーマン・ショックなど危機を乗り越えてきた創業約40年の老舗店でも、「ここまでひどい状況ははじめて」という。

拡大する写真・図版感染防止のためフェースシールドと手袋を着けて、接客する「ザボン」のママ・水口素子さん=2020年6月22日午後、東京都中央区、藤原伸雄撮影

拡大する写真・図版感染防止のため、お酒やグラス、ボトルには抗菌シートがかぶせられていた=2020年6月22日午後、東京都中央区、藤原伸雄撮影

 夜の銀座から人の姿が消え始めたのは3月中旬から。ザボンも客足が途絶え、3月下旬から約2カ月間、休業した。売り上げは急激に落ち込む一方、家賃や従業員の給料、維持費が重くのしかかる。損失は約400万円に上った。

 「このままだと閉店せざるを得ない」と水口さんは思い悩んだ末に決断し、6月1日営業再開した。フェースシールドに防護用のガウンを装着し、1日1組の予約制で接客にあたった。しかし翌日、東京都は感染拡大への警戒を呼びかける「東京アラート」を発動。店は再び休業を余儀なくされた。休む間、常連客から「銀座の灯を消さないで」「コロナに負けないでください」など激励のメールが水口さんを支えた。「全面解除はうれしい。コロナ前とは様相は違うが感染対策を徹底して、お店を守っていきたい」と前を向く。

 東京・銀座にあるクラブやバー、飲食店など約1100の加盟店でつくる銀座社交料飲協会によると、「店数は把握していないが、休業要請が全面解除され、再開した店が多い」と言う。感染対策の準備を進める店もあり、7月には再開する店がさらに増える見込みだという。(藤原伸雄)