マイナンバーカード取得率、国家公務員でも58% 

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座小田英史
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 国家公務員約53万人のマイナンバーカードの取得率(申請中含む)が、今年3月末の時点で58・2%だったことがわかった。国民の取得が進まない中で、政府はまず足元の公務員に昨年度中の「一斉取得」を呼びかけていたが、集計した財務省は「新型コロナウイルスの影響もあったためか、想定を下回る結果になった」としている。

 政府は2023年3月末までにほとんどの国民が取得することを目標に、21年3月からカードを健康保険証としても使えるようにする予定。昨年6月のデジタル・ガバメント閣僚会議では、国家公務員、地方公務員らの19年度内の一斉取得を推進すると決定。同月に閣議決定した「骨太の方針」にも、公務員らの年度中の取得の推進を盛り込んでいた。対象には家族や独立行政法人の職員も含まれるという。

 朝日新聞は、各省庁が3月に調べた国家公務員の取得率を、警察庁を除く22の機関ごとにまとめた文書を入手。それによると、3月末時点の取得率は58・2%、約30万人で、昨年10月末の35・2%から約12万人増えていた。

 100%は会計検査院など4機関。内閣府やカード事業を所管する総務省など9機関も90%以上だった。最も低いのは厚生労働省の48・4%で、49・7%の防衛省とともに5割を下回った。昨年10月末時点の調査と同様、職員数が少なく、カードが入館証を兼ねる霞が関の本省職員の割合が高い省庁ほど取得率が高い傾向がみられた。独立行政法人・国立大学法人を含む約78万人の取得率は、46・4%と半数以下だった。

 調査は内閣官房と財務省の依頼を受けた各省庁が、全職員に取得の有無や申請しない理由を家族も含めて尋ね、氏名を記入して上司に提出させる形で実施。職員からは、法律上の義務ではないカードの取得を事実上強要されたと感じるとの声が出ていた。

 政府は全国の自治体にも職員らの取得状況を報告するよう通知。山梨県内の消防本部では、カードを申請済みだとする回答をしないと「定期昇給が上がらない可能性」が出てくるなどとするメールを複数の職員に送った総務課長が「パワハラにあたる」と処分されるケースもあった。財務省給与共済課は「調査は課題を洗い出すためで回答は自由。コロナの影響がなければもう少し増えたかもしれない。カードを利用した入退館ゲートの設置など、取得率向上への取り組みを進めたい」としている。

 マイナンバーカードをめぐっ…

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