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 ブラジル発祥のビーチスポーツ「フレスコボール」がひそかに盛り上がっている。2人1組で気軽にラリーを楽しむ“羽根突き”。間隔を空けて球を打ち合うルールが、コロナ禍にあっても「ソーシャルディスタンシング」を保ちながら汗をかけると注目された。

 フレスコボールは1945年、リオデジャネイロの観光名所コパカバーナ海岸で考案された。木やカーボン製のラケット(長さ約45センチ、幅約25センチ)で、直径約6センチのゴム製の球を打ち合い、得点を競う。

 ただ、テニスのように1対1で相手を打ち負かすのではなく、採点競技だ。7メートル以上離れて向き合う「ペア」との協力が不可欠。5分の試合時間で、球を地面に落とさず打ち合った回数が点数として積み上がる。打球の速さ、股下や背面からといった遊び心あふれるショットも加点対象になる。

 上級者ペアともなると、足場の悪い砂のコートで体勢を一度も崩すことなく、延々とラリーを続ける。小気味良いリズムで響く「コツ、コツ」という打球音も癖になる。南米を中心に、豪州や地中海に面したスペイン、米国西海岸などで親しまれていた。新型コロナウイルスの感染が広がると、距離を保たなければならないルールが、「密」を避けて楽しめるスポーツだと日本でも話題に。

 2013年設立で、世界大会の代表を決める国内大会を年に数回開催している一般社団法人「日本フレスコボール協会」(東京都世田谷区)によると、国内の競技人口は昨夏の時点で約3千人。ところが、この1~4月は、協会公式サイトでのラケットの販売数が前年比の約2・5倍、計約1千本に上り、全国から体験会などの問い合わせも相次いだ。

 浜辺などで軽装で楽しめる「ラテン」なノリや、ラケットをペイントするおしゃれな雰囲気が満点。かつて恋愛バラエティー番組「あいのり」に出演していた「嵐」こと五十嵐恭雄さん(37)もフレスコボール選手。世界大会への出場経験を持つ。

 国内競技者の半数は40代以上で、街中でもその輪は広がりつつある。大阪市中央区の難波宮跡公園を拠点に活動する「なにわフレスコボールクラブ」の横田亮太代表は、「公園ユーザーの家族層、高齢者、若者など幅広い方に興味を持ってもらいたい」。

 ロングラリーのコツは、相手が打ちやすいように返球すること。瞬時に意思疎通する力も問われる。協会の窪島剣璽(けんじ)会長(46)は「敵を打ち負かすのではなく、ペア同士の思いやりが問われるスポーツ。人の心を温かくしてくれるスポーツですね」と話している。(河野光汰)