死なせてやらな 介護5千日、息子が母の首を絞めるまで
永野真奈
70歳を前にしたあの日、男は約15年間にわたり介護してきた96歳の母を殴り、首を絞めた。「死なせてやらなあかん。自分が死ぬ前に」。なぜ、そう思い込んでしまったのか。男の証言でたどった。
男は昨年9月、殺人未遂の疑いで大阪府警に緊急逮捕された。当時69歳。起訴後に保釈され、今は大阪市内の自宅で1人で暮らす。母は頭や首に約3週間のけが。一命を取り留めたが、事件から約2カ月後に死亡した。
我慢できひんかった
事件当日、いつも通りの朝だった。午前9時半、自転車で母の入居する大阪市内の介護付き有料老人ホームへ。手土産は巻きずし。母の好物だ。
昼食後、なにかがおかしくなった。
トイレから戻った母がベッドに腰掛けると突然、怒鳴った。「こんなとこ入れるから、こんなことになるんや!」
幼い頃から、母から「おにいちゃん」と呼ばれ、頼りにされてきた男。「大切に育ててもらった思いがある」。しかし介護に追われる日々のなかで、男は徐々に追い詰められていきます。
またか――。「こんなとこ」…
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