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 政府は24日、国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合で、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を撤回する方針を決めた。NSCで9月までに陸上イージスに代わるミサイル防衛などについて議論。12月に外交・安保の基本方針「国家安全保障戦略」と防衛計画の大綱(防衛大綱)、中期防衛力整備計画(中期防)を改定し、撤回を正式決定する予定だ。

 政府は2017年12月、北朝鮮の度重なる弾道ミサイル発射を受け、米国製イージス・アショアの導入を閣議決定。秋田、山口両県の陸上自衛隊の演習場に1基ずつ配備する計画だった。

 しかし、昨年6月には防衛省が秋田県に提出した報告書に誤りが明らかになった。今年5月下旬には迎撃ミサイルを発射した際に切り離す推進装置「ブースター」を山口県の演習場内に落とすためには大幅な改修が必要だと判明。2千億円の費用と10年という期間がかかることから、河野太郎防衛相が15日に「配備は合理的でない」と計画停止を発表した。

 イージス・アショア配備には、2基の取得費用や要員の教育訓練経費、30年間にわたる維持・運用に必要な経費を合わせると約4500億円もの費用がかかる。日本は米側と1787億円分を契約、すでに196億円を支払った。今後、配備撤回で違約金が発生する可能性もあるが、河野氏は「(米側と)これから協議する」と説明している。

 NSCは今後、来年度予算案の概算要求の期限となる9月末までに、イージス・アショアに代わるミサイル防衛体制や経済安全保障、新型コロナウイルス収束後の外交・安全保障などについて協議。有識者会議などを設けた上で、年末にも国家安保戦略と防衛大綱、中期防の改定をめざす。

 今後の議論では、敵のミサイル発射拠点などを直接破壊する「敵基地攻撃能力」の保有も焦点になる。歴代内閣は「他に手段がない」場合に限り、「法理的には自衛の範囲」としてきたが、安倍晋三首相は18日の記者会見で「相手の能力がどんどん上がっていく中、今までの議論の中に閉じこもっていて良いのか」と強調。茂木敏充外相も23日の会見で「単純に『盾と矛』ということで性格づけられるような安全保障環境ではない」と保有に前向きな姿勢を示した。

 一方、米国が担ってきた「矛」の能力を日本が持つことになれば、中国など近隣諸国の反発が高まるのは必至だ。国内では、与党・公明党も慎重姿勢を示す。専守防衛を掲げる日本にとって、敵基地攻撃能力の保有が、抑止力につながるかは不透明だ。