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 9月から県立歴史館(千曲市)で予定されていた、福岡市・志賀島で出土した国宝金印(福岡市博物館所蔵)の展示が、コロナ禍の影響で中止と決まった。県内初公開のうえ、人気の至宝に県内外から多くの来館が予想されるとして「十分な感染防止策を講じるのが難しい」(歴史館)のが理由だ。代わりにレプリカを置くとしている。

 「漢委奴国王」と刻まれた金印は、中国から弥生時代に福岡市付近に存在したという「奴国」の国王に贈られたとされる。奴国は中国の史書「魏志倭人伝」などに記されたクニ。真贋(しんがん)論争も繰り広げられた国宝だが、教科書でもおなじみで、古代へのロマンを誘う文化遺産だ。

 歴史館は、9月15日~11月29日の秋季企画展「稲作とクニの誕生―信州と北部九州―」で金印を展示(一部期間)する方針だった。ただ、県外で実物が展示された際に平均で1日1千人以上が訪れた例もあったといい、「ソーシャルディスタンスを保ってもらいながら入館してもらうのは厳しい」と判断した。

 一方、福岡市博物館所蔵の一辺2・3センチのレプリカは、金の純度にもこだわった本物により近いものという。「弥生時代の吉野ケ里遺跡(佐賀県)にまつわるものなど、ほかの展示とともに見る価値は十分にあります」と歴史館の担当者。(北沢祐生)