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 猫にも人にも、至れり尽くせり――。茨城県神栖市に昨年7月に完成したアパート「にゃんとハウス神栖2丁目」は、猫も飼い主も暮らしやすいようにデザインされている。完成から間もなく1年だが、ずっと入居がなく、最近やっと2部屋の契約が決まった。建築した会社は「すぐ満室になると思ったのに」と首をかしげている。

 「猫共生型賃貸住宅」は、行方市新宮の藤崎建設工業の藤崎政行社長(58)が、猫ブームなのでニーズがあるのではと建てた。愛猫家の次女の助言を得た。

 入居者は、猫を3匹まで飼える。間取りは1LDK。壁には幅20センチの階段、天井近くにはキャットウォークを付けた。床は猫が滑りづらい材質を使い、壁も猫の爪がかかりづらいクロス張りにした。

 クローゼットは寝室側と玄関ドア側の両方にドアがある。飼い主が帰宅後、猫と遊ぶ前に着替えられる。寝室とキッチンの引き戸はロックがかかり、猫だけでは開けられない。リビングのドアは、猫が取っ手に手が届いても、押しては開かないようにした。

 居間にある猫のトイレ置き場には換気扇を設けて、臭いがこもらないようにした。洗面台は幅75センチと広めで底は平面。猫を洗いやすいように設計した。

 インターホン、Wi-Fi(ワイファイ)、エアコン、照明、浴室乾燥機、駐車場1台付き。専有面積は約37平方メートルで、家賃は月額5万9千円(共益費3千円)からと、当初より千円下げた。5万9千円の2室は最近入居者が決まったが、6万2千円(同)からの残り8室は空いたままだ。藤崎さんは「なぜ?」と言う半面、何となく思い当たることもある。厳しい入居条件だ。

 入居できるのは「現在猫を飼っている人、または、3カ月以内に飼う人」。地元の不動産屋さんからも、「猫を飼わない人や、他のペットを飼う人も認めてはどうか」と言われたが、「飼っていない人は、猫の足音などにクレームをつける可能性がある。それでは本末転倒になる」と言って断ってきた。

 藤崎さんは「猫不可の物件で飼っている人は多いと思う。人気なら他でも造ろうと思っていたのだが……。神栖は転勤族などで、会社が物件を契約する人も多いのかもしれない」と、「自信作」に入居者が少ないことを残念がっている。

 ペットフードメーカーの業界団体「一般社団法人ペットフード協会」(東京都)によると、犬と猫の飼育頭数は2017年、初めて猫が犬を上回った。1994年の調査開始以来のことだ。協会事務局によると、それ以降も猫と犬の逆転はない。(村山恵二)