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 茨城県阿見町に住むシングルマザーの清水直美さん(41)が、コロナ禍で生活が苦しくなったひとり親家庭や一人暮らしの大学生らに食料を届ける活動を地元の女性らとともに始めた。ふるさとを離れた学生たちは、母のような心温まる支援に感謝している。

 6日、阿見町の住宅設備会社の駐車場。次々に訪れる学生らに清水さんが「体大丈夫?」と声をかけながら袋を手渡していた。パスタ、レトルトカレー、缶詰、カップラーメン、スナック菓子……。袋には寄付で集まった食料がぎっしり詰まっていた。

 つくば市内のグループホームで介護職として働く清水さんが食料の無料配布を思い立ったのは4月下旬。「食べ物に困っているひとり親の家庭が多い」と友人に聞いたのがきっかけだ。自身も6年ほど前に離婚を経験し、19歳の双子の娘がいるシングルマザー。町内の友人やSNSを介して寄付を呼びかけると、続々と物資が届いた。5月23日に1回目を開催。46人分の食料をひとり親家庭などに配った。

 町内には茨城大農学部や県立医療大があり、一人暮らしの若者が多い。余った食料を大学の寮などに持参したところ、「私もほしい」と他の学生からも要望が相次ぎ、6日、学生に対象を絞って2度目の食料の無料配布を実施した。

 LINEで参加を募り、61人分を用意した。地元の企業や、行きつけの居酒屋で知り合った見知らぬ客、SNSで知り合った京都や都内の人からも食料や寄付が届いた。手伝った約10人で組織する団体「ami seed」は町内に住む同年代の同級生や地元の祭り仲間の女性ら。子育てや仕事で集まれず、当日の開始直前まで準備に追われた。

 「1年生のみなさん、茨城弁に慣れたかな?」「おばちゃんも同年代の娘がいます」。食料支援だけでなく、LINEでも学生を気遣う清水さんのメッセージが異郷で暮らす若者の心に届いている。

 食料を受け取った茨大農学部4年の女子学生(21)はアパートで一人暮らし。6年前に父が病気で働けなくなり、奨学金で大学に通う。暮らしは楽ではなく、友人と会う機会も減った。「不安はあるが、清水さんのメッセージを読むとお母さんと話しているような気分になって安心する」と話していた。友人の分を含め2人分を受け取った男子学生は「困難はお母様方も同じだと思われますが、支援をしていただき感謝しかありません」と書かれた手紙を渡していた。

 清水さんは、2人の娘が高校生の時、生活が苦しかった。ゴルフ用品店員と介護職員の仕事をかけもちしても、給料は交通費や修学旅行などに消え、毎日、食事が満足に食べられない。見かねた近所の人が外食に連れて行ってくれたり、おかずをお裾分けしてくれたりしたという。

 今は週3回、介護職員として泊まり勤務をこなしながら転倒事故で歩けなくなった父も看病する。「支えてもらった恩を地域で困っている人に返したい」と清水さん。3回目の7月18日には、学生らに夏の味覚を楽しんでもらおうと、そうめんを入れた食料を渡す予定だ。寄付の申し出は清水さん(080・6531・4650)まで。(鹿野幹男)