拡大する写真・図版ドイツ西部デュッセルドルフの食料品店で4月29日、支払いの前にカードの読み取り器を消毒する買い物客=ロイター

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 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、キャッシュレス決済が新たな光を浴びている。便利でお得といったこれまでの利点に加え、接触を減らす点からも注目が集まる。日本やドイツ、イタリアなどで根強い現金志向を変えることになるのか。

「現金もコストかかる」

 東京都世田谷区の「本多美容室」はこの1年弱で、キャッシュレス決済の比率が急上昇した。最初のきっかけは、昨年10月の消費増税で政府が始めたポイント還元事業。登録店で使えば税込み価格の5%(大手のフランチャイズ店は2%)分戻るため、比率は従来の3割から5割ほどに上昇。次のきっかけが、コロナ禍だ。緊急事態宣言が出た約2カ月間で、利用比率はさらに7割ほどへと伸びた。

 同店はかざすだけで払える非接触型を含めたクレジットカードや米アップルの電子決済サービスアップルペイを使える。ネットで買い物する人が増えてクレジット利用が広がり、実店舗でも使う人が増えた、と本多文明代表はみる。さらに「現金を触りたくないという人が増えた」と感じるという。

 今月で終わるポイント還元事業に代わり、キャッシュレス普及の新たな推進力となる可能性もあるのが現金に対する意識の変化だ。

 家計簿アプリなどを手がけるベンチャー企業マネーフォワードの5月中旬のネット調査では、約8千人の回答者の4割ほどが新型コロナの影響でキャッシュレスを以前より使うようになったと回答。主な理由は「支払いを素早く済ませる」(約4割)、「現金に触れることによるコロナ感染を防ぐ」(約3割)、「ネットショップでの購入が増えた」(約2割)だった。

 クレジットカードの申し込みは伸びている。三井住友カードは2~4月の新規申込数が各月ともに前年比3~4割ほど増加。「関東や近畿に比べ、それ以外の地域の伸び率が1・5~2・5倍高く、年代別では30~50代の伸び率が大きい。地方部や年齢層のやや高い現金派の世代もコロナを機にクレジットカード利用を始めたのではないか」(広報)という。

 小規模店などにキャッシュレス決済システムを提供する「スクエア」が全国約3千の加盟店のデータを分析したところ、キャッシュレス決済件数が現金利用を上回る店は3月下旬まで20%台前半。ゴールデンウィーク直後に27%へ伸びた。

 「コロナを機に一気に完全キャッシュレスをめざすことにした」。同社のシステムを使う文具店「カキモリ」(東京都台東区)の広瀬琢磨代表はそう話す。緊急事態宣言解除後の6月2日からの営業再開にあたって決意したという。半年ほどかけて顧客へ知らせ、現金の扱いをやめる考えだ。「銀行へ入金するための人件費やおつり用の小銭の両替手数料など現金もコストがかかる。決済手数料を払ってもキャッシュレスを導入する一番のメリットは業務効率化。併用だと効率化も費用削減も中途半端で負担が大きい」という。(鈴木友里子

拡大する写真・図版利用可能なキャッシュレス決済手段のマークが並ぶプレートと、感染予防のアクリル板が置かれたレジ=東京都台東区の文具店「カキモリ」

「現金志向」のイタリアでも変化

 キャッシュレスが進む欧州内にありながら「現金払い」が根強かった国々にも変化が出ている。

 イタリアでは先月再開した「ロ…

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