「鬼才」元電通マンがデザインすると 亡くなった妻の言葉を胸に刻む

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古屋聡一
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 「生地へのこだわり」「焼きへのこだわり」「ニンニクへのこだわり」――。東京・神宮前にある「PIZZA KEVELOS(ピッツァ ケベロス)」の入り口には、店の個性がひと目でわかるようにデザインされた看板が掲げられていた。メニューにも「店の個性」について写真入りの説明があった。

 「4年ほど前に看板とメニューを変えました。すると、来店してくれる人が増えて、売り上げが3~4割増えたんです。初めて行列もできました」とオーナーシェフの小原直さん(42)。「こんなに変わるのかと驚きました。デザインの力はすごいですね」

 小原さんは二つ星のレストランやピッツァ専門店で修行をし、36歳でいまのお店を開業。石窯で焼いたピッツァには自信があったが、開店してしばらくは売り上げが伸び悩んだ。

デザインの力で伝わった個性と実力

 そんなときに出会ったのが、知人を通して紹介してもらったグラフィックデザイナーの川村貞知さん(50)。店の近くでデザインやブランディングなどを手がけるカイシャを構えていた。

 川村さんは近所の「ケベロス」が気になっていたが、入店を見送っていた。「本格派なのに、路上からはなかなか本質が伝わってきませんね」と小原さんに語った。

 指摘の内容は率直だった。謙虚で物静かなたたずまいに、「信頼できる人だ」と直感し、コンサルティングをまかせた。

 店の魅力は何か。どうしたら…

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