[PR]

 新型コロナウイルスの感染の影響で、金融当局が銀行に配当や自社株買いによる株主還元策に制限をかける動きが海外で広がっている。銀行の自己資本が手厚くないと企業への十分な融資ができなくなる恐れがあることに加え、当局側も公的資金による救済を警戒していることがある。こうした動きは日本の銀行にも影響を与えている。

 「すぐに銀行の配当や自社株買いを止めよう」。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は5月下旬、英紙への寄稿で呼びかけた。

 ねらいは、資金繰りに苦しむ企業への融資を促すことにある。銀行は、損失を被る恐れのある資産に対し自己資本を一定以上の比率で保つよう規制で求められている。資本が少ないと貸し倒れによる損失を補えず、融資にも応じられなくなる。

 IMFによると、世界の金融システムで重要とされる主要30行が昨年、配当や自社株買いに使ったのは2500億ドル(約27兆円)。こうした資金を流出させず、資本積み上げのために確保すべきだというわけだ。

 実際、各国当局は動いている。国際決済銀行の5月の報告書によると、新型コロナを受け、ユーロ圏やオーストラリア、カナダなど11カ国・地域の当局が銀行に配当や自社株買いを制限したり、見直しを推奨したりしている。英国などでは主要銀行が軒並み配当を一時的に中止。米国の当局はコロナを受けた追加の制限策を取っていないが、JPモルガンなど大手8行が足並みをそろえ6月末まで自社株買いを自粛している。

「税金が株主への贈り物という批判があった」

 いち早く乗り出した欧州の背景について、独フランクフルト金融経営大学院のファルト・フェヒト教授(金融経済学)は、感染拡大による経済の影響の大きさや欧州銀行の自己資本比率の低さに加え、過去の危機の反省に触れる。2008年のリーマン・ショック後、欧州では損失を抱えた銀行に多額の公的資金を投入。「公的資本注入が予想されながら株主配当を続けていた銀行もあった。危機で多くの人が苦しんだので、税金が株主への贈り物になったという批判があった」という。

 銀行に公的資金を投入した政府…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら