第12回焦る必要はない 社会はいずれ五輪必要に 村田諒太さん

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聞き手・構成 塩谷耕吾

再考2020⑫

 新型コロナウイルスの感染拡大で東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年延期となった。東京大会の意義はどこにあるのか。立ち止まって考えてみたい。

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 五輪というのは、アマチュア選手にとって自分の名を売る最大のチャンスだ。ぼくは2012年ロンドン五輪で金メダルを取った後はメディアに引っ張りだこになり、サングラスをしたり、変装したりして街を歩いていた。やっと認められたという思いがあった。

 だけど次の冬季五輪に話題が移ると、すぐに脚光を浴びなくなった。寂しさと、それをもっと維持したいという欲が生まれた。

 ただ、その欲は悪いことではなく、先に続く起爆剤になった。五輪金メダルは、取るまでは一番大事だったし、それで引退しようと思っていたけど、振り返ればスタートでしかなかった。その後、プロで世界王者になり、今が幸せだからそう言えるのではあるが。

 ぼくはロンドンの前、08年北京五輪はアジア予選で敗退し、引退して大学職員になっていた。パワーが余っているのに、向かう目標がない。心の中にある炎がぐつぐつ燃えているのに、はき出すところがなくて、つらかった。1年後に復帰して、全日本選手権で優勝。「ああ、五輪に心が残っていたのか」と気づき、それまでのモヤモヤが晴れた。

【動画】コロナ対策などで簡素化されることが決まった東京五輪。その姿とは?

 仮に東京五輪がなくなったら…

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