感染を恐れ、外出しない高齢者 認知症や介護の危険性も
コロナQ&A(運動編) 回答:久野譜也・筑波大学大学院教授(健康政策)
新型コロナウイルスの感染を防ぐため、多くの人が自宅で過ごす時間を増やした結果、体を動かす時間は減りつつあります。コロナ禍での運動をめぐる様々な悩みを、どうすれば解決できるのか。記者が尋ねました。
Q新型コロナウイルスの感染を恐れて、運動どころか、外出を極端に避けている高齢者の方がいます。どんな助言をしたらいいでしょうか。
A 高齢者が外出を極端に避け、活動的な生活や社会参加の機会を失うと、介護が必要になる時期を早める恐れが大きくなります。
最近の我々の調査で、新型コロナウイルスの感染対策で運動の機会が減った人は、会話の機会も減少し、その両方が原因となってストレスが増加し、物忘れが増えることにつながったということが分かっています。今後、認知症につながることが心配されます。
人は年を取ると自然に体と心が弱くなっていきます。寝たきりになって介護が必要になる前の、そういう状態をフレイル(虚弱)と呼びます。
フレイルから要介護の状態に進まないようにする対策として、食事と運動と社会参加が大切だと言われていて、この三つの要素は互いに影響し合います。
たとえば食事では、バランスが取れた栄養を摂取するだけでなく、家族や友人と楽しみながら食卓を囲むとフレイル予防として効果があります。
運動も体を動かすことだけでなく、仲間を作り、運動前後のおしゃべりや食事の機会を持つことも大切です。
運動そのものが楽しいと思える人は、実は多くありません。しかし、運動そのものが楽しいと思えない人でも、おしゃべりが主でも効果があると聞けば、興味を持てるかもしれません。どちらであっても、健康長寿には運動がいい、と助言してはどうでしょうか。(構成・忠鉢信一)
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くの・しんや 1962年生まれ。高齢化社会の問題に取り組み、科学的根拠に基づいた健康政策の構築を目指す。スポーツ審議会委員。
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