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コロナQ&A(運動編) 回答:久野譜也・筑波大学大学院教授(健康政策)

 Q免疫力を上げると感染しにくいと聞き、コロナ禍で運動を始めました。こういう人は多いのでしょうか?

A コロナ禍の中、健康への関心が高まったとすれば、健康政策を推進する我々には大きな「チャンス」と言えるかもしれません。2010年に新潟市、新潟県見附市、同県三条市の約5千人を対象にした調査で、約7割が厚労省の提唱する運動量の目安に達していませんでした。この7割の7割、全体の5割の人が「今後も運動を行う意思がない」と答えました。この集団の特徴は「健康情報を自分から取ろうとしない」ことでした。

 しかし日本で新型コロナウイルスの感染拡大が起きると、罰則で強制しなくても、外出自粛や手洗いなど健康を守る行動が広く浸透しました。全国民が外出自粛を体験したことで、運動不足や社会参加の減少が心身に悪影響を及ぼすことも、以前より理解されるようになった気がします。

 最近ある自治体から、日々の歩数を記録する健康事業の参加者が、コロナ禍で増えたという報告がありました。新型コロナウイルスの感染に注意することで、健康への関心を高めたことが一因だと考えられます。

 「無関心層」に向けて健康情報を発信し、健康リテラシー(理解力)を上げ、健康にプラスになる行動につなげることは簡単ではありませんが、繰り返し耳にした情報が、なにかのきっかけで自分事になって響くことがあるようです。「無関心層」の人たちが、口コミには耳を貸してくれることもわかっています。私のような専門家より、家族や友人からの一言は効果的です。(構成・忠鉢信一)

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 くの・しんや 1962年生まれ。高齢化社会の問題に取り組み、科学的根拠に基づいた健康政策の構築を目指す。スポーツ審議会委員。