【動画】米ミネアポリス、ジョージ・フロイドさんの死から1カ月
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米国ミネソタ州の黒人男性ジョージ・フロイドさん(46)が白人の警察官に首を押さえつけられ、亡くなってから1カ月がたった。今なお抗議デモが続く現場周辺を記者が歩いた。

 「警察の蛮行を終わらせろ」「肌の色が濃いことは犯罪ではない」

 米ミネソタ州ミネアポリスの交差点は、無数のメッセージや花で埋め尽くされている。5月25日、黒人男性のジョージ・フロイドさん(46)が白人警官から約8分にわたって首を押さえつけられ、「息ができない」と訴えながら命を失った現場だ。その死以来、世界に広がった抗議デモは、1カ月経ってもまだ続く。

 ここには黒人、白人、ヒスパニック、アジア系と人種を超えて多くの人が訪れ、追悼を捧げる。ひざをついて祈った白人女性のジェーン・ダルトさん(55)は「『自由の国』で、構造的な人種差別が今もなくならない」と涙目で語った。

現場に植物の意味

 ミネアポリスは貧困率や犯罪率が低く、米国の中でも「住みやすい都市」とされる。しかし、「人種」というフィルターを通すと、様相は異なる。白人と比べ、黒人の貧困率は5倍、失業率は3倍高い。持ち家率は白人の約75%に対し、3分の1の25%だ。

 格差の一因とされるのが、20世紀初頭の都市計画だ。不動産業者は裕福な地域の契約に、所有権を白人に限定する条項を入れ、黒人が住める地域は限られた。その地域も住宅ローンの貸し付けリスクが高いと区分され、持ち家購入が難しくなった。地元の歴史家によると、フロイドさんが亡くなった交差点は、かつての白人と黒人の居住地域の境界線上に位置する。

 こうした差別が違法となった現在も、黒人が多い地域に入ると、風景が一変する。住宅は金属フェンスで囲われ、窓には防犯目的の鉄枠がある。フロイドさんの自宅も、古びた低層集合住宅が並ぶ、非白人が多い地域にあった。米メディアによると、一軒家を黒人3人でシェアしていた。

 事件を機に、こうした状況への怒りが噴き出した。現場の交差点の一角では、「生きる」という意味を込めて植物を植える動きがある。そこに加わっていた黒人男性のジェイ・ワブさん(48)は「肌の色が違うだけで住む家が異なり、教育や仕事の機会が奪われる。米国の分断が深まっている」と声を震わせた。(ミネアポリス=渡辺丘)