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 地震や水害など自然災害発生時、避難所でのコロナウイルス感染拡大をどう防ぐか。新たに浮上した課題に、徳島県内の各市町村は対策を迫られている。

 田畑や住宅地が広がる平地にある北島町の北島北公園スポーツ広場。町はナイター設備を備えた約5500平方メートルのグラウンドを、災害時に車中泊が可能なスペースとして活用することを検討中だ。地震で家屋が倒壊した住民らが短期間使うことを想定し、約100台が収容できるという。

 だが、町内は南海トラフ巨大地震による津波や大規模な洪水で、ほぼ全域が浸水すると見込まれる。町は従来、車での移動は危険として徒歩や自転車での避難を求めてきた。町の担当者は「車中泊はエコノミークラス症候群のおそれもあり、これまで推奨してこなかった」と振り返る。

 県は4月、「避難所開設における新型コロナウイルス感染症対策対応方針」を示した。災害対策基本法施行令の基準を満たした指定避難所以外に、公共施設や民間施設を「サブ避難所」として設定し、避難所内での密閉、密集、密接の「3密」を避けるよう求める内容だ。また、開会中の県議会6月定例会では、避難者の受け入れに協力する宿泊施設が、間仕切り設置や浴室・トイレの改修などにかかった費用を補助する制度を新設する意向も明らかにした。

 方針を受け、美波町は今月、町内の民間宿泊施設2カ所と災害時の協定を結んだ。客室や宴会場などを町民の避難場所として開放し、計約300人を受け入れてもらう。「公民館や寺社など37施設はすでに指定避難所で、宿泊施設以外にお願いできる場所がなかった」と町の担当者。

 神山町は指定避難所の公民館6カ所で、開放する部屋を増やして対応する。それでも足りない場合、廃校になった旧小学校の校舎や体育館の活用も検討する。

 公民館や小中学校など20カ所の指定避難所がある石井町。これまでは一時的に身を寄せる場所と位置づけていた消防団の詰め所や農業構造改善センターなど22カ所をサブ避難所にする。徳島市は91カ所の指定避難所だけでは収容しきれない場合に開設する市立体育館や青少年センターなど69カ所を、災害規模に応じてサブ避難所にする考えだ。

 県とくしまゼロ作戦課の担当者は「避難所を増やせば、運営に地域の自主防災組織や町内会の協力が必要になるなど課題は多い。市町村などと情報や知恵を共有して対策を進めたい」と話している。

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 徳島県は、新型コロナウイルスの感染拡大と自然災害が重なる「複合災害」への備えを県民に呼びかけている。チラシ約5万部を作って、各市町村などを通じて配っているほか、県の公式サイト(https://www.pref.tokushima.lg.jp/別ウインドウで開きます)の「とくしまゼロ作戦課」のページにも掲載している。

 徳島大学環境防災研究センターの監修を受け、「3密」を避けつつ、災害から身を守る避難方法を解説。事前に自治体のハザードマップなどで、自宅の浸水や土砂崩れの危険性を確認し、危険性がない場合は「在宅避難」や、安全な親類・友人宅に身を寄せることを検討するよう求めている。また、日頃の備えとして、非常用持ち出し袋に体温計やマスク、消毒液を入れることもすすめている。(吉田博行)

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 〈サブ避難所〉 市町村が開設する指定避難所に入りきれなかった被災者を受け入れる補助的な避難場所。新型コロナウイルスの感染予防で被災者同士の間隔を空けると、指定避難所の受け入れ人数が減ってしまうため、徳島県が4月に策定した対応方針で新たな避難場所に位置づけた。施設の規模や物資輸送の利便性など指定避難所の基準を満たさない小規模な集会所や民間事業所なども対象にできるとしている。

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◆「3密」を回避する分散避難

①自宅で安全確保できるなら「在宅避難」

②親戚や友人宅などへの避難が可能か検討

③市町村の避難所や宿泊施設、テント・車中泊を検討

※事前にハザードマップでリスクを確認する

※災害時の安否確認の手段を確保しておく

(県のチラシから)

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