メキシコ市の治安庁長官、銃撃される 麻薬組織関与か
メキシコ市で26日午前6時半ごろ、市治安庁長官が武装集団に襲撃される事件があり、計3人が死亡した。市長らが明らかにした。長官は3発の銃弾を受け病院に搬送されたが、命に別条はないという。長官は麻薬密売などの犯罪対策の責任者で、襲撃には麻薬組織が関与したとみられる。
襲撃されたのは、オマル・ガルシア・アルフッチュ長官。現地報道などによると、市西部の高級住宅街を車で走っていたところ、待ち伏せされ、銃撃された。警察官2人と車で通りかかった女性1人が死亡したほか、警察官3人と通行中の市民2人がけがをした。襲撃に関与した疑いで12人が逮捕され、現場にあったトラックの荷台から、機関銃や防弾チョッキなどが見つかった。
長官は、自身のツイッターに麻薬カルテル「ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」(CJNG)が関与していると投稿。治安当局による取り締まりへの報復とみられる。
事件後、アルフォンソ・ドゥラソ治安相は、1週間前に長官や外相らに対する脅迫があったと明らかにした。外相は、CJNGリーダーの息子の身柄を米国に引き渡したため、恨まれた可能性があるという。
CJNGは、この10年ほどで急速に勢力を伸ばした麻薬組織で、凶悪なことで知られる。本拠地のハリスコ州では18日にも廃屋から14体の遺体が見つかり、地元検察によると、直近6カ月で計215人の遺体が見つかっている。麻薬抗争に絡み、殺害されたとみられている。
メキシコでは毎月3千件前後の殺人事件が起きるなど、治安悪化が深刻な社会問題になっている。ロペスオブラドール大統領は「銃弾ではなく抱擁を」というスローガンを掲げ、貧困対策が解決につながると主張してきたが、状況は悪化している。(サンパウロ=岡田玄)
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