拡大する写真・図版イラスト・中島美鈴

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 休み明けの朝、わが子に体操服や絵の具がいると突然言われ、慌てた経験はないでしょうか。どうすれば子どもの出し忘れを防げるか。今週末からできる予防策を臨床心理士の中島美鈴さんが解説します。

休み明けに起きる「なぜ早く出さなかったの」事件

 週明けの月曜日に、こんな事件に出くわしたことはありませんか?

 「やばい!!体操服出してなかった!ゼッケンも縫い付けて」

 「おかあさん、今日絵の具がいる」

 そうです。週明けの、ただでさえ週末の疲れの残る憂鬱(ゆううつ)な朝に、子どもがこんなことを言い出したら、パニック、イライラ、爆発必至です。

 みなさんのご家庭はいかがでしょうか?私も小さい頃は、上靴、体操服、エプロンの出し忘れ常習犯でした。

 普通の週末もそうですが、連休明けですと、特に「なぜ早く出さなかったの」事件が起こります。「もうそんなことは親は放っておけ。子どもに一度困らせておくべきだ」という意見もおありでしょう。私もそれは個人的にはありだと思います。しかし、学級集団で一斉に使用するもの、他のご家庭のお子さんに迷惑のかかるものもありますので、なかなか痛い目を見るだけではすまない例もあるようです。ここでは、どうしたら我が子が「出し忘れをしないか」と紹介していきます。つまり、予防策です。

 リョウさんはADHDの主婦です。数年前に結婚した夫と今年4月から1年生になった娘がいます。リョウさんには、うっかりミス、ぎりぎりバタバタが日常的にあるため、日々の雑用にあたふたしています。リョウさんの娘さんも「週明けなぜ出さなかったの事件」を頻繁に起こしました。

 本来なら金曜日の帰宅後に、出すものは出してしまえばいいはずなのです。しかし、なぜそれができないのでしょう。大人だって似たようなことはありませんか?金曜日は疲れもピークで、早く解放感に浸りたくて出すものを出すより先に、ソファに飛び込みたくなるのかもしれません(すべきことより、解放感優先)。また、週末は平日に比べてイレギュラーな予定が入りがちです。旅行、外食、学校行事などです。そうすると、日頃はできているルーチンにまで気が回らず、忘れてしまいがちなのです(週末のイレギュラーで習慣化していたものも崩れやすい)。

 さて、対策はどうしましょう。前回と同様に、動線上に付箋(ふせん)作戦も有効です。帰宅して、カバンを置く場所あたりに、「体操服、プリント、エプロン」などと書いた付箋を貼り付けてもいいでしょう。「全部出し終えたら、それと引き換えにおやつ」のような引き換えチケット式もいいでしょう。しかし、イレギュラーな予定が入っている時には、もしかするとカバンをそこに置くこともしないかもしれません。学校帰りにそのまま帰省するなどがそうです。そうするとこの場所リマインダーは使えないのです。

どんなときに忘れるか、家族で共有を

 リマインダーは複数用意する必要があります。

 おすすめなのは、「週末イレギュラーの定式化」です。これまでの週末に入ったイレギュラーな用事を、家族で思い出してリストアップしてみるのです。急なお友達家族からのお誘い、行事などいくつかのパターンが見いだせるはずです。そうすると「こういう時に私って出し忘れしがちなんだな」と認識できるのです。家族で共有しておくことで、家族の誰かが「あ、今週末、旅行だから、プリントとか出し忘れそうじゃない?体操服の洗濯いつする?」と声をかけることができるかもしれません。この時に時間リマインダーをかけておくといいでしょう。その旅行に出かける時間帯にかけるのもいいですし、旅行から帰宅後に月曜からの準備をする時間帯を思い出すためのリマインダーでもよいでしょう。スマホのスケジュール機能で通知させると便利です。

 なかなか乾かない上靴問題については、家族で話し合いましょう。2足用意しておけば、どうしても忙しくて洗えない週末があってもなんとかなるでしょう。上靴専用の乾燥機を購入するのも手です。私は最近はポリ袋に50度のお湯と洗濯用洗剤と上靴を入れて、振って、空気を抜くつけおき作戦を子どもにさせています。放置している間に汚れがとれて楽ですし、つけおきしてままお出かけできるのがうれしいところです。

 コラムの筆者・中島が時間管理×人間関係をテーマに、7月31日(金)「女性のための夢を叶える時間術セミナー」をオンライン開催します。詳細はこちらから。

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中島美鈴

中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。