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 栃木県内初となる新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した。県と宇都宮市は28日夜までに、同市宿郷1丁目のキャバクラ店「CLUB EIGHT(クラブ・エイト)」の従業員8人の感染が確認されたと発表、クラスターと認定した。さらに29日夜も2人の感染が確認され、計10人となった。感染拡大を防ぐため、県と宇都宮市は29日、PCR検査の対象をすべての従業員や客に広げる方針を示した。

 「CLUB EIGHT」では27日に3人の感染を初めて確認。市は全従業員27人のうち25人のPCR検査を実施し、28日にさらに5人の感染が判明した。5人は宇都宮市の30代男性と10代女性、鹿沼市の30代男性、上三川町の20代女性、那須烏山市の20代女性。うち2人は近くの系列店「クラブ efu」にも勤務しており、同店の全従業員の検査も進めている。

 29日に感染が確認された2人は鹿沼市の20代女性と上三川町の30代男性。女性は、72例目となった「CLUB EIGHT」の30代男性従業員の妻。男性は73例目となった同店勤務の20代女性の知人という。

 27日以降の感染者に関係する接触者は家族や知人ら感染者を含めて40人を超えており、PCR検査を進めている。

 厚生労働省は「同一の場において5人以上の感染者」が判明した場合をクラスターと定義している。

 県内初のクラスターが発生した事態を受け、佐藤栄一市長は29日の定例会見で「検査対象を幅広くし、感染拡大を防止したい」と説明した。22日以降に「CLUB EIGHT」「クラブ efu」に来店した客で症状がない場合でも、申し出があれば市保健所の検査対象に加えるという。

 市によると、22日以降に店を訪れた客のうち、把握できているのは自ら相談を寄せた8人だけ。何人が2店のキャバクラを利用していたのかも不明という。

 市は、国などが示した業種別のガイドラインのうち、接客の距離を1メートル以上空けるなどの点で「同店では十分に順守されていなかった面もある」とした。改めて市内の事業者に順守を呼びかけた。(関根光夫、中村尚徳、池田拓哉)

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 県は29日朝、急きょ対策本部会議を開いた。会議終了後、福田富一知事は「接待をともなう飲食店で感染が発生した場合は濃厚接触者に限らず、すべての従業員や客に幅広くPCR検査を実施する」と説明。これまでより一歩踏み込んだ方針を明らかにした。

 県は近く、接待をともなう飲食店の関係業界団体を訪問し、会員店舗によるガイドライン順守を支援するよう要請する。宇都宮市などの飲食店3千店にガイドライン徹底の通知も出すという。

 ただ、県が独自の指標などから打ち出す3段階の警戒度は、最低ランクの「感染観察」を維持する。

 今回の集団感染で、指標のひとつである「直近1週間の新規感染者数」は8人となり、1段階上の「感染拡大注意」レベルに達した。一方、感染経路がおおむね把握でき、病床がひっぱくしていないと判断した。近隣都県の感染状況も踏まえて現状維持を決めたという。(津布楽洋一)