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 新型コロナウイルスの国内初の院内感染が起きた和歌山県湯浅町の済生会有田病院。医師2人、患者3人の感染発覚後、どのようにしてクラスター(感染者集団)の連鎖を止め、封じ込めに成功したのか。関係者が振り返る。

 病院が異変に気づいたのは、2月初めだった。2人の外科医師が相次いで体調不良を訴えた。CT検査で肺炎像がみられ、新型コロナウイルスへの感染が疑われた。医師に聞き取りをするとともに、看護師や清掃業者らにも発熱などの症状がないか調査を進めた。

 「医師2人が肺炎になり、ともにウイルス性のようだ」。情報は12日に県庁に伝えられ、翌日にかけて疑い例は5人に増えた。県は管轄の保健所に状況把握とPCR検査を指示した。

 同じ頃、国内では大型クルーズ船内の集団感染や中国・武漢からのチャーター便の帰国者の感染が注目されていた。当時、厚生労働省は湖北省への渡航歴がある人などをウイルス検査の対象としたが、和歌山県は、渡航歴にこだわらずに検査するなど柔軟な対応を取る方針を決めていた。

 県福祉保健部の野尻孝子技監は、都会よりも中国と関わりのある人が少ない分、国の基準に従って感染者を見落とすことを恐れた、と説明する。

 13日夜、仁坂吉伸知事が緊急会見を開き、PCR検査をした外科医の感染確認を発表。その後、同僚医師と入院患者3人も陽性だったと判明した。

 県は院内感染の全体像を把握するため、症状の有無にかかわらず、病院関係者全員のPCR検査を決めた。狙いは明確だった。「感染がさらに広がれば、地域医療の中核が失われる。そうした事態を避けたかった」と仁坂知事。大阪府の協力も得て2月25日までに医師や看護師、入院患者に出入りの業者も含めて計474人を検査。新たな感染者はいなかった。

 一方の病院では、県の指示を受け、14日から外来診療を取りやめ、トイレなど共用部分を消毒。院内に「感染対策会議」を立ち上げた。新型コロナの院内感染は国内に例がなく、手探りで情報を集め、対策を練った。

浮かび上がった感染経路
感染者の行動をたどり、濃厚接触者を洗い出す中で、推定される感染経路が浮かび上がりました。記事後半でお伝えします。

 当時、院長補佐兼副院長だった…

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