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気候変動を前提にした防災戦略「災害をいなす」 環境省と内閣府

 地球温暖化に伴うとみられる気象災害が世界各国で起こっており、環境省と内閣府は、気候変動のリスクをふまえた防災・減災の戦略をまとめた。ダムや堤防などのハード対策の強化よりも「危ない土地には住まない」「自然の機能を活用する」など「災害をいなす防災」を重視する。30日、小泉進次郎環境相、武田良太防災担当相の共同メッセージとして発表した。

 気候変動による災害は、常に従来の想定を超える可能性がある。過去の災害規模を参考にしたハード対策では防ぎきれず、ハードの積み増しにも限界がある。戦略では、今後の人口減もふまえて、災害リスクの高い場所で新たな都市開発を抑制する、既存の住宅を移転するなど「災害危険エリアからの戦略的な撤退を進めるべきだ」とした。

 また河川沿いの湿地を災害時に水を逃す遊水地として活用するなど、自然を活用した防災の必要性も説いた。

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2018年の報告書によると、世界の平均気温は産業革命前に比べてすでに約1度上昇。日本でも17年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨、19年の台風15号、19号と気象災害が激甚化・頻発化している。(水戸部六美)

遊水地の潜在性マップ作成へ 防災・生態系保全で 環境省

 気候変動で激しさを増す豪雨災害に対応するため、環境省は河川流域の土地を災害時に水を逃す遊水地として活用できないか調査を始める。人口減で利用されなくなった土地などを自然の状態に戻して遊水地として使えば、防災と生態系の再生の両方に役立つ。調査で、遊水地としての潜在性を地図化し、街づくりに生かしてもらう。

 昨年、東日本を中心に大きな被害をもたらした台風19号で被災した河川から複数流域を選び、調査を始める。川沿いにある湿地や沼地にためられる水量などを推計。また宅地開発で埋め立てられた湿地跡地や治水工事で整備された氾濫原(はんらんげん)の跡地なども、元の状態に戻した場合、どれだけの貯水量が見込めるかも調べる。

 来年度以降はさらに調査範囲を広げ、遊水地の潜在性の全国マップをつくることをめざす。人口減が進む中で、耕作放棄地など利用されなくなった土地を、新たに開発するか、自然の状態に戻すか、街づくりの参考にしてもらう。

 台風19号では栃木、群馬など4県にまたがる日本最大の渡良瀬遊水地が約1億6千万トンの水をため、下流の東京方面に流れ出る水量を抑えて被害を防いだ。この遊水地は生態系を守るラムサール条約にも登録され、平常時はバードウォッチングや釣り、散策など住民の憩いの場にもなっている。

拡大する写真・図版平常時の渡良瀬遊水地=利根川上流河川事務所提供

拡大する写真・図版2019年の台風19号で水がたまった渡良瀬遊水地=利根川上流河川事務所提供