[PR]

 巨人に刻まれた悲しい記憶が、10年以上の時を経て人命救助につながった。プロ野球巨人の会田有志・3軍投手コーチ(36)が28日、倒れていた男性に救命措置を取って、男性が一命を取り留めるという出来事があった。

 28日午後8時過ぎ、ジャイアンツ球場から帰宅途中だった会田コーチは、都営地下鉄の馬喰横山駅のエスカレーター付近で中年の男性が仰向けに倒れているのを見つけた。男性は意識がなく、会田コーチは近くにいた人に「誰か119番してください。AED(自動体外式除細動器)を持ってきて」と呼びかけ、心肺蘇生術も施した。届けられたAEDで電気ショックを与えるなどしたところ、男性は意識を取り戻した。男性は救急搬送され、現在は快方に向かっているという。

的確な措置の裏にあった、忘れえぬ木村拓也さんの悲劇

 実は会田コーチは毎年、国際武道大で救命の講習を受けている。そのきっかけはチームメートだった木村拓也さんの存在だ。2005年の大学・社会人ドラフト7巡目で中大から入団した会田コーチは09年に引退。引退セレモニーは、木村さんと一緒だった。内野守備走塁コーチに就任した木村さんは翌年4月、試合前のノック中にくも膜下出血で倒れ亡くなった。37歳だった。

 「木村さんが亡くなってから、選手たちの命を守りたいという意識を強く持つようになった。普段からの意識と準備が役に立って、うれしく思う」と会田コーチ。現役時代に通算37試合に救援登板した右腕が、かけがえのない命を救った。