[PR]

 戦後の東京や子どもたち、文化人のポートレートなどで知られる写真家田沼武能さん(91=全日本写真連盟会長)の写真展「わが心の東京」が東京ミッドタウン(港区)のフジフイルムスクエアで開催中だ。

 戦後の焼け野原から復興へ、変貌(へんぼう)をとげる東京の街と人を、田沼さんのファインダーを通して切り取ったモノクロ写真102点が並ぶ。会場でひときわ目立つ「街頭テレビでプロレス観戦をする人々」は、新橋駅前で1955年に撮影された。広場を埋め尽くす人々の顔は、みな生き生きと瞳を輝かせて力強い。展示は、戦後から80年代までの作品で、昭和を生きぬく人間に焦点を当てている。

 29年浅草生まれの田沼さんは、10代の多感な時期に戦争を経験。焦土と化した東京の記憶は、後に報道写真家として歩む原点となった。故・木村伊兵衛氏の助手から写真の道へ進み、戦後の復興の歩みを、優しいまなざしで見つめ続けた。昨年、写真の分野では初となる文化勲章を受章している。

 田沼さんの写真が伝える戦災孤児や下町の子どもたち、傷つきながらも戦後の混乱の中を生きる人々の表情は、どん底にあってもたくましい。コロナ禍で、混迷の時代を生きる私たちに、静かなエールを送ってくれる。入場無料。9日まで。