強制不妊手術を法廷で問われ 79歳男性は声を荒らげた

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榧場勇太
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 「どうして、同じ人間なのに、子どもを産んじゃいけないのか。人間として見てほしい」。旧優生保護法(1948~96年)のもとで不妊手術を強制されたと訴え、国に損害賠償を求めている札幌市の小島喜久夫さん(79)は6月、札幌地裁の法廷で初めて声を上げた。その11日後、同様の裁判を起こしている都内の男性の訴えを退けた東京地裁判決をニュースで見て、いてもたってもいられなくなった。弁護団だけで開く予定だった記者会見場に急きょ現れ、伝えたかったこととは。

無念の判決 急きょ記者会見場へ

 6月30日の東京地裁判決の前夜。小島さんは眠れなかった。「勝ってほしい」。起きてからも、何も手に着かなかった。

 午後2時過ぎ。テレビのニュースで東京地裁判決を知った。都内の男性への手術が違法だったと認める一方、旧優生保護法そのものが憲法に違反しているかどうかの判断をしない内容だった。賠償請求も退けられた。

 小島さんは「東京の裁判が負けたから、『はい、そうですか』とはならない」。札幌市内で弁護団が開いた記者会見に駆けつけた。

 弁護団によると、旧優生保護法をめぐる訴訟は、東京、大阪、福岡など全国8地裁と仙台高裁で計24人が争っている。小島さんは「全国で裁判をやっている人にもがんばってもらわなきゃいけない。一緒に戦っていきたい」と決意を述べた。

 そのうえで、「私たちがされたことを本当に信じているのか。残念でなりません。裁判官も公平な目で見て、された人の気持ちになって考えてほしかった」と嘆いた。

 国の統計によると、手術を受けた人は全国で少なくとも1万6475人。このうち北海道は2593人を占め全国最多とされる。

 国は被害者に一律320万円を支給する法律をつくり、2019年4月に施行した。被害者本人の請求に基づいて被害を認定する。手術記録がない場合、第三者機関「認定審査会」が審査する。

 道によると、今年6月21日までの申請件数は86件だった。小島さんは裁判を優先し一時金を申請していない。手術記録も残されていない。

「泣いても、泣ききれなかった」

 小島さんが国を訴えたのは、強制不妊手術を受けたとされる年から57年後の18年5月だった。裁判が始まってから2年。6月19日に札幌地裁で開かれた第8回口頭弁論で、小島さんは、原告側、被告側、裁判官から法廷で直接質問を受ける本人尋問に初めて臨んだ。

 車いすに座ったまま約1時間…

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