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 大阪市平野区の市営住宅で昨年11月、知的障害や精神障害のある男性(当時36)が自殺し、その原因は自治会役員の言動にあるとして、男性の両親が自治会と当時の役員2人に、慰謝料など計2500万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。自殺の前日に、障害者であることやできない作業を文書に記すよう強要されたと訴えている。

 31日に第1回口頭弁論があり、自治会側は請求棄却を求めた。

 訴状によると、男性は2011年ごろに統合失調症と診断され、13年には知的障害の療育手帳を交付された。市営住宅で一人暮らしだった男性は昨年11月中旬、くじ引きで自分が自治会の班長に選ばれる可能性があることを知り、自治会の役員に「精神の病気で班長ができない」と伝えたが、「特別扱いできない」と言われたという。

 男性は同24日に役員らと話し合った際、便箋(びんせん)2枚に「しょうがいかあります(原文ママ)」「おかねのけいさんはできません」「ごみのぶんべつができません」などと書かされた。さらに役員らから、文書を同じ階の住民(約10世帯)に見せると言われたという。男性は翌日、自宅で亡くなった。

 原告側は、他人に知られたくない障害の内容を書かせたことは憲法13条が保障するプライバシー権や人格権の侵害にあたると主張。役員らは文書をほかの住民に見せるなどと伝えて過度な心理的負担を与え、男性を自殺に追い込んだとしている。

 自治会側は答弁書などで、男性を班長候補から外すのに他の住民の理解を得る必要性があり、書面を作成したと主張。強要もしていないと反論している。

 男性の兄(41)によると、男性は亡くなる前日、「さらし者にされる」と漏らしていたという。兄は「弟は障害があることを人に知られるのを嫌がっており、自ら書面を書くはずがない」と訴えている。(米田優人)